【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が42人 ページ44

「ん、お前美味そうな匂いする」


クンクンと首元に鼻を近づけるうらたさん。


「は、離してくださいっ‼」


暴れようとするが、後ろで手首を組まれているので力が入らなかった。


それにうらたさんは他の人と比べて身長が小さいので息をするたび私の耳にかかってくすぐったい。





「力入らないでしょ？そらるさんから良い掴み方教えてもらったの」



いやいやそらるさん…何いらない情報教えてるの。


襲われる側困るんだけど…←




「離してください。もう散々噛まれましたから」



るすに天月にそらるさんに…



まぁ、１日がどれくらいなのか分からないけど、短時間で3、4回噛まれた記憶はある。

そろそろ血が無くなりそうだから本気でやめて欲しい。



「あいつらだけこの血を飲むのは不公平。俺だって最近血を飲んでないの」



言い終えるとうらたさんは私のTシャツを右に少しずらす。



ちょうど肩が見えるくらいまで下げると私の肩をペロリと舐めた。


「！んんっ⁈な、何してるんですか‼」

急だったので大きく反応してしまう。

うわ…ゾクゾクした…



「ん、なんでも良いでしょ」



今度は耳元で囁かれる。

その直後、肩に電気が走ったような痛みに襲われた。


「っ…！」

噛まれたのだ。

何度噛まれても慣れないこの痛み。



私が必死に痛みに耐えていると、パッとうらたさんが顔を上げた。


「なんだこの甘い血…すげぇ美味い」


それだけ呟くと再び喉を鳴らしながら飲み始める。



美味しそうに飲む彼とは裏腹に、私の痛みと貧血はひどくなり始めていた。

私はあまりの痛さに耐え切れず、無理やり腕を動かし抜け出す。




「動くな。余計痛くなるだけだぞ」


あっけなく戻され、彼の好きなようにされた。

少し動いたせいか視界がぼやけ意識が遠のいていく。




吸血鬼ってやっぱ怖いな。







そう思ったのが最後だった。

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