【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が32人 ページ34

天月は私を離すとその隣に座った。


「泣いてる理由教えてもらっても良い？」





泣きじゃくる私に優しく問いかける天月。



「…その…血を吸われるとか殺されるとか……そんなの無縁だって思ってたから…ちょっと怖くなっちゃった」


"こんなんで泣くなんて情けないよね"なんて言いながら少し笑って見せる。


「情けなくなんてない！誰だって泣きたい時はあるの‼だからそんなこと言わないでっ‼」





ずいっと顔を近づけられ大声を出す天月。


さっき並ではないが、近いです。天月さん…。




「次そんなこと言ったらお仕置きね！絶対だよ！」



ニコニコと可愛らしい笑顔で勝手に約束を取り付けられてしまった。


お仕置き………絶対守ろう。



この人の事だ。きっととんでもないことを命じられるに違いない。


これからポジティブにいこう。



「あ、また血が出ちゃってる！ごめんね！せっかく手当てしたのに！」




噛まれたところを見てみると赤い液体が垂れていた。


彼は再び救急箱を出すとせっせと手当ての準備を始める。


本当にありがたい。



「あ、一つ聞いていい？いつもどんなご飯食べてるの？」


「んー…至って普通だよ。サラダとかスープとか」




へー。もっと特別なものかと思ってたなー。


これなら作りやすい。助かった…


「はーい。手当て始めまーす！」





本日2回目の消毒をされた。

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