「恋」っていうから「愛」に来た【鬼滅の刃】

続き ページ20

竈門「その、背中、すまなかった」

『…！？…？？？？』

片思い相手の声を聞けただけで

お嬢様は今日のご飯が食べられないくらい嬉しいのたが

話しかけられたとなると

どうしようもなく顔を赤くして照れてしまうのだ

汽車がぼっ、と息を吐いて走るように

はふ、と顔を発火させて

間抜けに口を開けてしまう姿は可愛らしかった

乙女のような顔つきが

一層きら、きら。と見えてしまう炭治郎は

頭で考えたセリフの一割も口から出てこない

お互いに混乱してしまって

お嬢様のずきずきと痛む背中だけが冷静だった

竈門「その、飾り気がないから！！簪！持ってないのかなって！！」

いや、違うだろ。

炭治郎は自分で言いながら思う

いや、そうじゃなくて、こんなことが言いたいわけじゃないて。

き、傷ついた匂いがする。

その、あぁ！一旦落ち着いてくれ！炭治郎！と

自分に必死に言い聞かせるものの

一度開いた口は止まらない

竈門「き、綺麗な簪だから…に…似合うかなって」

誰に？私に？と

差し出された簪を眺めて疑問に思った

浮かれてしまう、浮かれてしまう

どうしよ、どうしよ。

自惚れて自分で後で傷つきたくはないのに

焦っている彼から発せられる言葉が

甘酸っぱくて心臓に悪かった

顔が真っ赤になってさらにみっともなく頰が緩むのがおさえられない

差し出された簪に恐る恐る手を伸ばす

伸ばされた手はガクガク、震えていて

何故か足まで震えてしまうのはお互い様である

長くて、短い。早く、終わって欲しいけど

まだ、一緒にいたい。

あぁ、じれったい。うるさい。と

二人の矛盾した心は論争を起こした

簪に触れてちょ、と冷たい感触を覚えた

そして自分よりも暖かくて火傷しそうな

相手の手の感触も。

竈門「ね！！禰豆子にっ！！！」

あともう少しで渡せるところだったのに

彼女の指先が想像以上に滑らかだったから

驚いた炭治郎は手を振り払ってしまう

ぱし、と乾いた音がなって

パシリと彼女の匂いが割れて悲しさが滲み出る

勘違い？恥ずかしい。恥ずかしいと

耐えられないほどの羞恥で彼女は思わず泣き出したくなった

その変化を炭治郎が気づかないはずがない

やってしまった。と幾度とない後悔をするのである

竈門「でも、その！やっぱり、Aが欲しがってたなって！！」

炭治郎が決死の言い訳を述べる

名前を呼ばれたと彼女は遅れて理解して

嬉しさとときめきが心の底から湧いてくるのである

次行きます！

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