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嘴平夫婦の波乱 ページ3

『あら?夫婦は一緒に寝るものだと思ってました』

嘴平「…!!」

品のある足運びが浮世絵離れしていた

彼女はきっと隅々まで高級な世界で暮らしていた

それが故に果たさなければならない義務が多く

きっと鬼と戦うとは別の苦労を積んできたのだろう

その根拠に奥さんは街に出たことがなかった

生粋の箱入り娘なのである

そんな奥さんが自分のためだけに

全てを捨てて駆け落ちしてくれた

可愛くないはずない

嬉しくないはずない

抱きたくないはずない

嘴平「ゴメンネ…経験ナクッテ…」

『経験?簡単ですよ?』

家から持ち出してきた寝巻きに身を包みつつ

彼女がその水が滴る髪をまとめた

不意に覗いた鎖骨は白いキャンパスのようだ

まだ色を知らない。

つけるのは伊之助だ

彼女は明かりが揺れる寝室に入ってきて

二つの布団を横に並べる

少し距離があった二つの布団を、だ。

ぴったりとくっつけたのだ

嘴平「…煽ってんのか」

『何をおっしゃるのでしょう。夫婦なら当然ですわ』

その憂いを持った瞳が優しく揺れた

音も立てずゆっくりと布団に腰掛ける姿は

上品さが抜けていなかった

つくづく雲の上の存在なのだなと痛感する

手入れの行き届いた肌は

何よりも甘そうで美味そうで

腹が空いたような錯覚さえ覚えた

彼女の一挙一動が伊之助の欲を煽る

『一緒に寝ましょう?』

ぷつ…と糸が切れるような気がした

実際にそんなものはないはずなのに

自然と欲望に駆られて彼女を押し倒す

二つ並べられた布団はやっぱり広かった

ずっと待ち望んでいたように思える

伊之助は想い人を組み敷くという行動が

いかに刺激が強いか想像もつかなかった

布団の上で美しい黒曜石の瞳が見開かれる

衝撃で緩んだ胸元、赤く色づいた唇

全てが誘っているようにしか見えなくて

伊之助は手を引き寄せてそこに噛み付いた

手首に歯が立てられて血が滲む

光る瞳はまさにケダモノだ

『……痛いわ。何するの?』

その瞬間、彼女の瞳から白金の涙が溢れ始めた

ぽろ、とまるで落としてしまったかのように

その涙が。

『暴力を振るわれるとは思わなかったわ』

嘴平「暴力じゃねぇよ!!一緒に寝るんだろ!?」

『じゃあなんで押し倒したの?重たいわ、どいて頂戴』

伊之助は驚いた。動揺を隠せていなかった

嘴平「……子供はどうやって作るか知ってんのか」

『え?鳥が運んで来るのよ。知らないの?』

伊之助、人生で初めての絶句を経験する

時透夫婦の波乱→←我妻夫婦の波乱



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みらい - リクエスト、ってできますか?出来たらでいいんですが、継国縁壱を書いてほしいです。更新頑張って下さい (2020年1月10日 20時) (レス) id: 1eb25293ec (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - 善逸の「嘘でしょ……」で草生えた。 (2019年11月4日 16時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)
村人 - イチゴいちさん» ありがとうございました! (2019年10月10日 23時) (レス) id: edc7ee7394 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴいち - 村人さん» このコメ欄の下の方に作者名:ゆきぽん(さん)と書いてありますよね?そこのゆきぽんという字を押すと全作品が見れると思います!! (2019年10月8日 18時) (レス) id: 86b9e23d57 (このIDを非表示/違反報告)
村人 - 前の作品を拝見したことがあるのですが竈門夫婦の馴れ初めを読み返したくて作者名で検索をかけても鬼滅の刃シリーズにはなくて悲しんでおります。夫婦の馴れ初めをかいたシリーズはどこに行ってしまったのでしょうか?誰か教えてください。 (2019年10月7日 2時) (レス) id: edc7ee7394 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆきぽん | 作成日時:2019年9月1日 0時

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