本気ではら .ましてやる。【鬼滅の刃】

煉獄夫婦の出会い ページ16

書きたくなりました！

煉獄「うまい！うまい！！」

ある甘味屋さんの軒先で

団子を頬張り笑顔を浮かべる男性がいた

まだ男性といっても幼さが残り

二十代に差し掛かるかそうじゃないかぐらいだと思える

周りの目線も気にせず一人で食べ続ける

そんな彼の豪快なところに惹かれる人も多いのではないだろうか

『そんなに"うまい"のですか？』

そこにある女が通りかかった

彼女は笠を被り顔は見えないが

隣で肩を抱き寄せている男性の顔は見えた

病弱そうで頼りなさそうだが

誰よりも優しそうで、そして静かだ

煉獄「あぁ！うまいぞ！！ぜひ食べてみるといい！」

『そうなんですか』

さも可笑しそうに笑う彼女

透き通る笑い声が風鈴によく似合う

蒸し暑ささえも愛おしく感じるような声だ

そんな声につられてか

彼女の隣にいる男性も音をたてずに笑った

白い歯を見せて優しく、花のように。

このカップルは爽やかで涼しいと杏寿郎は思った

『食べてみますか』

「うん、そうしよう」

男が話した

まるで字を書く物書きのような声

紙のあの白さを取ってきたような声だった

聞いていてとても心地がいい

ふと、女が笠をとった

ふわり夏風が心に穴を開けていく

煉獄「よもや、よもやだな」

夏風が運んでくれたのは

忘れ去られ、置いていかれた春だった

心に穴を開けて、その穴に春を入れていく

風に髪を遊ばれて、たなびく髪を手で追いながら

現れた彼女の瞳に思わず胸が高鳴った

胡蝶蘭のような大きな優しさを込めた瞳

光によって態度を変える目の色が

ずっと心に残りそうだ

すらりと伸びた鼻は日本人らしくない

どことなく浮世絵離れした世界の住人なんじゃないか

なんて思った

要するに、一目惚れだったわけだ

『あら、いきなりどうしましたか？』

煉獄「よもや…」

『よもや…？』

彼女の胡蝶蘭が揺れた

杏寿郎の心が奪われた

真っ赤な口紅に、真っ白な頰に。

よく分からないけれどとにかく暑い

胸がうるさくなってしまい

頭の中にはいうセリフはあるが

言葉に出そうとすると何十倍も薄いものがでてくる

『大丈夫ですか？ほら、集中してください』

空の彼方を見つめる杏寿郎

不安に思った彼女が思わず声をかけた

静かに唇をなぞり意識を任せる

杏寿郎の頰を優しく包み込んだ後

静かに涼しげな声でこういった

『集中』

この時のことを杏寿郎は忘れないだろう

彼の初恋の音だったのだから。









胡蝶蘭の花言葉

幸せが飛んでくる

？？？さんの本気→←宇髄天元、やり過ぎました

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