参．10人目の雪柱

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胡蝶side


「Aちゃんって気になっている殿方とかいないの！？」



何を言い出したかと咳き込むAさんを見て私と甘露寺さんは口角を上げる


色恋毎が大好きな甘露寺さんが聞くから何の違和感もないでしょうが、こちらは計画済みなんですよ？Aさん



もうそろそろくっついてもらわないと、こちらももどかしいですからね

『どうしたんだい、いきなり…いないと思うがな』


帰った来た答えに甘露寺さんと二人でピシッと固まる

まさか自覚がなかったとは…


これは時間がかかりそうですねぇ、とため息をつく

私たちが誘導しないと気づかないでしょうね、と甘露寺さんと目を合わせてこくりと頷く



「では単刀直入に聞きますね？」


「貴女冨岡さんのことはどう思われているんですか？」


私の質問にAさんは『うーん』と首を傾げた


『どうって…大切な仲間であって、何でも話せる仲…か？』


先ほどから進展の一歩もない答えにまた、甘露寺さんと二人ため息をついた



「では質問を変えますね？異性としてはどう思われているんですか？」


まだ気づかないんでしょうか…もしかして本当に好きではないとかあり得るんでしょうか


でも明らかに冨岡さんといる時の笑顔の種類が違いますからね

もうずっと一緒にいるから分からなくなってるのかもしれませんが



『異性？』とAさんは戸惑ったように呟くと顎に手を当てて考えていた


『まぁいないと寂しくはなる…か？』


さっきよりかは少し進歩したかのように思える答えに「なるほど…」と返す




ではもう回りくどいのも面倒くさいのでぶっ込んであげましょうか？と

甘露寺さんに耳打ちをするとグッと親指を立ててきた




不思議そうにこちらを見るAさんににっこりと笑みを浮かべる


「冨岡さんのこと好きではないんですか？異性として」


Aさんが友人の話として聞かないように最後にちゃんと「異性として」と強調する



それを聞いたAさんは『なっ…』と少し赤く頬を染めて



「私たちから見るともう好きなようにしか見えないんですけどねぇ」




じゃあもうとどめを刺そうかと甘露寺さんと目を合わせる


「Aさんじゃあもし宇髄さんがいなかったとしたら寂しくなりますか？

あ、勿論死ぬとかではないですよ？」



鬼殺隊だとそういう物騒な考えにいきますからね、と最後に付け加える



それを聞いたAさんは頬を赤く染めてそっぽ向いた

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