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第四話「犠牲」 ページ5

息が切れる。どんどんスピードが落ちてきてるのが自分でもわかった。相手は鬼だ。体力なんてないから追いつかれるのは時間の問題だ。足を止めるな。止めてしまえば自分の首とはおさらばだ。

「はぁ、はぁっ…」

私はでかい岩石を越えようと、高くジャンプする。だけれどその瞬間、私の肩に手鬼の手が貫いた。その衝撃で私は地面に転がり、坂のせいもあってか麓まで転がり落ちてしまった。肩から暖かい液体が流れ落ちる。貫かれた右肩。右腕はもう動かなくてお面も取れてしまった。

「もう逃げないのか?」

手鬼が笑みを浮かべ私にゆっくり近く。ああ、私は死ぬのか。私はまだ動く手で折れた刀を杖代わりに立ち上がろうとする。霞む視界。その視界の中で、川が見えた。足場は砂利で、すぐそこに川はあった。

「ああ、鱗滝がまた悲しむなあ」

楽しそうに笑う手鬼。この傷ではもう生きられない。でもこの鬼の血肉にはなりたくない。この身体は鬼に喰わせるものか。

「…あんたなんかに、喰わせてやる肉なんてないっ!」

「なに!」

私は生きてる腕の方で刀を手鬼に投げた。手鬼はその刀を弾き飛ばすがすでに時遅し。私は立ち上がって川へ身を投げた。冷たい水の感覚。流れも早くて深い。肩と頬から流れる血が、清らかな川を一瞬にして汚した。

手鬼が川の中へ手を突っ込み私を探すが川下へと流されていく。眩しい光が川へ差し込む。朝がやってきたのだ。手はその光から逃れるように引いていった。

息ができない。でもなんでだろう。なんだか眠たくなってきた。
義勇はもう泣いていないだろうか。錆兎は大丈夫だろうか。

ああ。もう、どうでもよくなってきた。

そのまま私は瞳を閉じた。


___________


「うっ…」

眩しい光の中、俺は目を覚ました。起き上がれば首が痛み、俺は反射的に首元を抑える。それと同時に意識を失う前を思い出す。

「A…!!」

俺は木の幹から出ればその場にはAはいなかった。俺は嫌な予感がし手鬼の足跡らしき場所を追ってく。道が荒れておりAを追いかけていたことは、一目瞭然だった。

ひらけた場所へ行くと川があった。その近くには見慣れたものが血溜まりの中に落ちていた。あれは、Aの厄除の面だ。

「A!!何処にいるんだ!!」

お面は割れており、血で濡れていた。その近くには折れた刀も落ちていた。俺はそれを拾い上げ歯を食いしばった。俺が意識を失っている間、あいつは…!

なぜ俺がやすやすと生き残ってしまったんだ。

第五話「花街」→←第三話「足音のなる方へ」



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❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時

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