第三話「足音のなる方へ」 ページ4
「…二手に分かれよう錆兎」
手鬼から錆兎を遠ざけないと。私が手鬼の囮になるといえば、錆兎は猛反対するだろう。だって、正義感が強い彼だもの。
「いいや、深傷のお前を奴はきっと追いかける。
だから俺が食い止める。先にお前は…」
やっぱり。錆兎は優しい。こうやって私を心配してくれる。でもね錆兎、所詮貴方の糧になる私だから。貴方は義勇のために生きて。
「ごめんね錆兎」
私は苦笑いをする。こうでもして、貴方に生きてて欲しい。義勇の為でもあり、私の為でもあるの。身勝手な私だけど許してね。
錆兎の首に手刀を落とせば錆兎は驚いたまま瞳を閉じた。意識を失った錆兎。
私は鬼に見つからないよう、小さな木の幹の中へソッと入れる。
「かくれんぼか〜？出てこい狐ども」
手鬼の声が聞こえる。私は覚悟を決めて瞳を閉じる。そして深呼吸をして折れた刀を握りしめる。立ち上がり木陰から出て手鬼を睨みつけた。
「私はここよ」
「ん？宍色髪の小僧はどうした」
私はその言葉にうすら笑みを浮かべた。刀を奴に向けて挑発する。私はただの時間稼ぎ。錆兎はここで死んではいけない。
「とっくに逃げたよ。貴方本当に捕まえる気あるの？」
「なに？」
案の定ピキリと額に筋が浮かんだ。簡単に挑発に乗ってくれるやつで良かった。時間制限は夜明けまで。私はそれまで生きられるだろうか。
「私を捕まえられなきゃ、あの子なんて捕まらないよ。
のろまさん」
私はそう言って走り出した。錆兎のいる木の幹を避ければ手鬼は私しか見えてないように、手を伸ばしながら追いかける。これでいい。死がとてつもなく怖くても。私が生きているよりずっと価値がある錆兎をいかしてたほうがいい。
鬼さんこちら、足音がなる方へ。
夜明けが来るまで遊びましょう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
❤︎ - 面白かったです〜！！！最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜！！何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです！待ってますね。 (8月24日 21時) (
レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです！！！更新待ってます！！！！！！！！ (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き！続きはどこ？！ねぇ？！（（やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます！！ (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり！？更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜餅 | 作成日時：2019年11月17日 20時
