第十二話「また来るなんて」 ページ13
私は隠さず全部話した。何も言わずに宇髄さんは聞いてくれてる。ただ、錆兎のことや義勇のこと、私が転生者であることは隠した。
「この傷らはその時に負ったものです。もう右腕は動くことはありません」
私はそう淡々と話したが、それを言い終えれば宇髄さんは私に近づいた。私より何倍もでかい身体が私を見下ろした。冷たい手が私の頬に触れる。私はその手に驚き見上げれば、悲しそうな、複雑そうな顔で私を見つめた。
「強く握って悪かったな…痛くないか?」
宇髄さんはそう言ってさっき強く握られたであろう右腕を撫でた。私は首を横に振る。私は大丈夫ですよと言い笑った。
「この右腕、もうただの飾りです。今では邪魔でしかありません。こんな身体…」
そう言えば宇髄さんは眉を寄せた。もう動かない。ならばいっそ斬ってしまおかと考えたけれど、姐さんに猛反対された。この右腕はもう何も役に立たないというのに。
「…地味な考えだな」
そう言う宇髄さんはさっきとは違う笑顔で私を見つめた。私はその考えにえ?と聞く。宇髄さんは原作では派手とか、ド派手とかいつも言ってるからその言葉を口にするのは初めて聞いた。鬼相手には地味などは使ってたけれど。
「お前のこの頬も、この右腕も。お前は派手にいい女だ」
宇髄さんは私の右腕を手に取ると猫のように顔を擦りつける。私の手のひらに柔らかそうな唇が触れる。派手に恥ずかしいリップ音が聞こえ思わずひぇっと情けない声が出る。右腕の感覚はないけれど、宇髄さんは私の手のひらにキスをしたのだ。
顔が熱くなる。整った顔がニヤリと笑みを浮かべた。さすが派手男、妻を三人迎えているだけある。
「また来る。俺は宇髄天元。派手に覚えておけ」
そういうと額を人差し指でツンと軽く押された。ぽかんとしている私に宇髄さんは笑うと、二階だと言うのに窓から飛び降りる。私は驚いて窓に近づいたけれど宇髄さんは既にいなかった。また来る…それって。
「…何してんだ私…」
原作キャラ、突き放せてない。
3466人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時