詐欺師 TheLastBorder3-2

テロリスト ページ15

私が胸騒ぎを覚えたのは、それから少し経った……完全に夜が世界を支配し始めた頃の時間の中だった。

ラウンジと思わしき、食堂のような広い部屋で、一人で水を飲んでいる時にこんな話を聞いた。

「最近聞いたか？南の砂漠の中で、あるかどうかも分からない遺跡を探索するために変な組織がその辺一帯を占拠したんだとよ……」

「中には銃で平気で人を殺すようなやつも……怖いもんだね」

「しかもな、そいつらは『異世界人』を狙っているのだとか……」

異世界人……というのは、恐らく私のような存在の人間だろう。砂漠の中の武装組織……と聞くと、宗教関係のテロリストを思い出す。
あの手の人間たちは確かに厄介だった。仕事としての犯罪ではなく、宗教上の思考が混じっての犯罪なのである。だから任務の遂行への意欲、信念は私たちよりも遥かに強かった。

組織で活動していたとき、一度仲間がそんなようなやつらに捕まったんだ。金にも目を眩ませず、正義のためと叫ばれ、仲間は目の前で殺された。
叫んだ男の、その目に躊躇の念は微塵も無かった。

それからは、私の人生の中で一番の地獄絵図だった。血と肉は飛び、つんざくような銃声や雄叫びは……今でもたまに夢に出てくる。
あの修羅場で、生き残れたことは今でも奇跡に思っている。

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