さよなら、Dayflower【あんスタ】

85.翌朝早々に ページ39

･


『S1』が終わり、革命は成った。

その翌朝、事件は起きる。




−−−−




『もしもし、A？』


朝早く、ま〜くんから電話がかかってきた。


｢ん〜……どしたの〜？｣

『｢S1｣の事後処理が終わんなくてさ……頼む！ 手伝ってください！』

｢あ〜い……｣


という訳で家を出たのが、6:50。


そして今、7:15。



生徒会長さんに渡された、文書。そこに書かれていたのは……





『Trickstar』を解散させる？



……いや嘘でしょ？



私は、決して『Trickstar』が憎い訳じゃない。

あの瞬間、私の存在を忘れていたのは、彼らだけじゃない。彼らの民度が｢その他大勢｣と同じ、場の勢いに流される程度だった、ってだけだから。

それに、私のことなんて忘れた方が、彼らはきっと輝ける。



だからこそ、この案は、信じられなかった。


｢……その配分で動かすよ。いいね？｣


文書を破り捨てそうになった私の手を、会長さんがやんわりと包んで止める。


私は、文書を机に叩きつけ、叫んでいた。




｢――反対ですッ!!｣




−−−−




｢良くないです！ 何なんですかそれは！｣


会長さんに向かって、私は詰め寄る。


ところが彼は、先程と全く同じ調子で、同じ台詞を繰り返した。


｢これは『生徒会の総意』だ。いいね？｣

｢良い訳がありませんッ！｣


当然だ。
なぜこんなことにならねばならないのか。学院全体の希望である『Trickstar』には、人間として生きてほしい。

会長さんの言う通り、社会の一部に取り込まれ、求められるがままに動く。そこに己の意思など、無い。


そんな人生、全くもって意味なんて無い。

何より、それは彼らに期待した人達に対する、最低最悪の裏切り行為だ。




なのに。

会長さんは、スゥ、と目を鋭くした。


｢――勘違いしないでほしいな。

僕は、君の感情論など聞いてはいない。確認を取っているんだ。申し訳ないけれど……是の他に、答えは認められないよ｣


『是の他に、答えは認めない』？


何なの、一体。




あまりにも、理不尽すぎる。


｢何なんですかそれ！｣


｢これが、実情だよ。君も、大人になるんだ｣


何それ。何なのそれ。


｢子供の夢物語じゃない。現実を見なさい｣


これが子供の夢物語？

人間を人間と扱う、それだけで……？



そんな、あまりにも――ひどすぎるよ。



そんなの、


そんなの、



そんなの――！





｢私は認めませんッ!!｣






もう、こんな場所なんて居たくない。


私は、回れ右をした勢いで、生徒会室を飛び出した。

86.聞いてたよ→←幕間2.とある病室にて [前編]

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す