12話 ページ13
「ところで、何で僕の家に?」
「あ?なんとなくだよ」
「は?」
結局断ることも出来ずに、和希を安室透としての家に連れてきた訳だが、理由を聞けば和希はそう答えた。
その答えにあまりにも驚いて、思わず素が出てしまった。
俺はそんな和希の曖昧な理由に溜め息を着きながらも、和希をリビングに案内する。
一瞬、和希をこのまま警察学校時代みたいに床に放置しておこうかと考えたが、今の俺は降谷零ではなく、安室透なのだ。
安室透のキャラ設定は「常に笑顔で優しく爽やかな好青年」だ。
もしも、和希をこのまま床に放置したとすれば和希は間違えなく「安室透ってやつ俺を床に放置しやがったんだぜ」的なことを周りに言いふらし、安室透という人間の評価がダダ下がりするのがオチだ。
あいつなら本当にやりかねない。
そんなことがあれば安室透は好青年キャラどころかとんでもない腹黒キャラに逆転だ。
と、いうことで俺は和希をソファーに誘導する。
「お〜センキュ〜センキュ〜♪あ〜むろ〜はやさすぃ〜♪」
「煩いです。暴れないでください」
酔いが最高潮なのか、良く分からない変な歌を唄いながら体を上下に揺らしてふらふら左右に動き回る和希。
ああ、因みにどうでも良いが、俺の呼び方が「安室さん」から「安室」に進化した。
俺はそんな和希の体を掴みソファーの方へ引きずるようにして向かわせる。
まったく、こいつは…!
「…ああああああ!!!!!」
完全に油断していた時、和希は突然歌うのをやめて叫んだ。
俺はその声に、「次は何だ!」と身構えた。
まあ、どうせくだらないことで叫んだのだろうが。
「お前!誰かに似ていると思ったら、零じゃねぇか!!!!」
前言撤回、降谷零大ピンチ。
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作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時