1話 ページ2
(Kazuki Ito)
「コトッ」
デスクの上に置いてあった写真立てに、腕が当たり思わず俺はパソコンと書類の山から顔を上げる。
「……これ」
デスクの隅に、無造作に置かれていたそれに俺の目は吸い込まれた。
その小さな額の中には、もう何年も前に撮った写真が収まっていた。
あの時、警察学校であいつらと最後に撮った写真。
あの時は、爺さんになってもこの仕事を誇りに思ってやり続けるって、またいつかどこかで会おうって約束したっけな。
まあこの写真に映っている俺ら六人のうち、もう四人は殉職しちゃったし残る俺らも___俺は置いといて零は、音信不通だしで、その約束はもう到底守れそうにないんだけどな。
ふうっと息を吐き、また仕事に集中、と写真立てを今度はデスクのよく見えるところにきちんと立て、気合い入れにっと頬を軽く叩いた。
「あの、すみません。伊藤さん!お久しぶりです」
急にそんな声がきこえて、声が聞こえた方向、すなわち右横を向くと、そこには懐かしい高木の姿があった。
「おー、高木。久しぶり。元気にしてたか?」
航の紹介で知り合った一課の高木だが、こいつはなんともまあ優しく性格も良い好青年。
そんな紹介してくれた航も、もういないんだけどな。
こうして今でもちょくちょく挨拶してくれるのだ。
「はい!元気です!」
「良かった。ところで今日は高木はどうしてここに?」
「今回の事件で、少しこちらにお願いしたいことがあったのでお願いしにきました。」
「あー、そういうことか」
俺は最後に高木の目を見ると、笑った。
「お疲れ、これからも頑張れよ」
俺がそう言うと高木は「はい!」と言い、ニコリと笑った。
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作者名:神風 | 作成日時:2018年5月22日 18時