069:Re:vive CM ページ20
その時は、前触れもなくやってきた。
ﾕﾉﾋｮﾝとの電話を終えて、やるせない気持ちで部屋に戻ると
ベッドの上、ボーっとしたAが座っていた。
「Aは、記憶を失っていたんだ」
僕が事の経緯を話す間
Aは瞬きも忘れて、僕の話に聞き入っていた。
きっとすぐには信じられないだろう。
だけど、医師の話した通り
記憶を失っていた間の事は
全部覚えていないみたいだった。
「ｼﾞｭﾈという男の子が、Aを助けて、保護してくれていた」
ｼﾞｭﾈは 再びAから忘れられたと知ったら
ショックを受けるかもしれない。
だけど、またすぐに仲良くなれるだろう。
僕だって、2人でアメリカに行った事を忘れられて
少し寂しい。
「昨日まで、2人アメリカにいた。Aが留学してた街で、僕みたいなキャンドルをもらったよ」
混乱してるのは見て明らかだ。
とりあえずあと2日は東京にいるはずだったけど、
明日朝一でソウルへ戻って、病院に連れて行こう。
それに、
Aの記憶が戻ったからって、
何も解決していないままだ。
さっきのﾕﾉﾋｮﾝの話を思い出しながら、
どうしたらAを守れるかずっと考えている。
ただでさえ、3か月という長いツアーが始まる。
もし、この間にAに何かあったら…
多分僕は壊れてしまうだろう。
だけど、何より今は
「A…すぐには受け入れられないよね」
「……めん」
「一緒に、ゆっくり消化しよう」
「ごめん……ﾁｬﾝﾐﾝ…私のせいで…迷惑かけて」
「…迷惑なんて」
「…でも」
「…好きだよ、A」
Aが、本当に戻ってきた。
その喜びで、胸が張り裂けそうだ。
多分今は
何もまともに考えられないだろう。
人生であまり経験した事はないけど、
今、この瞬間は
本能のまま
ただ、そのままに。
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作成日時：2017年11月6日 23時
