好きじゃないよ、絶対 (ページ4)

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自由になれたと思った次の日、普段は感じない視線を感じて怖くなった。
自意識過剰かもしれないけど見られている感覚があった。

「浮気、してたの？」

カバンから教科書やノートを取り出す檜山くんにノールックで話しかけられる。
浮気は断じてしていない。
する相手もいないし。

『してないよ。第一、する相手がいないでしょ？』

と笑って返すと

「高橋、みんなに浮気したって言ってる。西野って高橋のこと好きで付き合ったんじゃなかったの？」

やっぱり目は合わない。
でも彼から告げられたことが衝撃的すぎて、そんなこと気にはならない。
今日感じた視線は私が浮気をしたという噂からなるものだったんだ。
援交もしているとか、色々言われているそう。
かばってくれる友達もいない。
やっぱり華の女子高生終了だ。
はあ、なんでこうなるかな。

「俺、言おうか？」
『何を？』
「そんなことしてないって。」
『いいよ、別に。』

檜山くん、優しい。
でもなんとなく人に言ってもらうのは違う気がした。
間違いは自分で訂正した方がいい気がした。

「なんかあったら言って。」
『ありがとう。』

女の子の友達がいなくてもいいや。
なんだかんだ優しい檜山くんがいるし。
目は合わないだけで。
あと連絡先も交換してないけど、多分友達と言えるはず。
今聞こうかな。

『檜山くん、連絡先交換しない？』
「いいけど、急すぎない？」

学校で檜山くんがスマホを触っているところをあまり見ないから新鮮だ。
一方私は休憩時間にすることもないからロック画面をずっといじっている。
そんなことはどうでもいい。
新たに追加された連絡先。
とりあえずなんかスタンプ送っておこう。

「何これ」

初めてクスッと笑った檜山くんを見た。
変なスタンプで返されてまた私も変なスタンプで返して。
青春ってこれか、なんて思った。
それと同時にこんな日が続けば楽しいのにとも思った。