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私の場合は体調を崩すと長時間眠れる体質らしく、その通りに次の日の朝まで眠っていた。
まだ微熱があった。
今日はもう母に休めと言われた。
ゼリーや経口補水液を渡すと、母は仕事に向かった。
ワガママかもしれないが固形物が食べたい。
昨日からろくに食べ物を胃に入れていなかったからそれなりにお腹は空いていて、少しのゼリーでは満たされなかった。
頭がガンガンと響いてきたのをぎゅっと目を瞑って耐える。
久しぶりに体調を崩すと悪化しやすいと聞いてはいたけれど本当な気がする。
実際こんなにしんどい。
高熱はなくともこんなにしんどいなんて。
思いもしなかった。
ドライヤーは大事だなと薄れていく意識の中ぼんやりと思った。
起きればもう外は橙色に光っていた。
時計を見なくともまた長時間寝たことが分かった。
自分の部屋までノロノロ戻り、経口補水液を喉に流し込む。
母からの着信がないかスマホを確認すると
「今日の時間割」
というメッセージが届いていた。
差出人は檜山くん。
元彼に気を取られていたからか気がついていなかったが、3日前に休んだ時も檜山くんは送ってくれていたらしい。
既読がつかないのにまた送ってくれたんだ。
すごく長い文が送られていて中を見ると、内容は授業で習ったこと。
教科書ページからどの内容か、どこに力を入れるべきかが書かれていた。
プリントや板書ノートの写真も送ってくれていた。
これは多分、檜山くんのノートじゃない。
最後には「お大事に。ノートは川谷から。」と送られていた。
やっぱり勘は当たっていたようだ。
『ノート、写させてもらいます。体調はかなり回復しています。連絡も学習内容も長文でありがとう。3日前にも送ってくれてたのに気づかなくてごめん。ありがとう。』
と返したつもり。
指が上手く動かないから誤字が多くて困った。
体調が悪いのを理由に許してほしい。
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作者名:ちよちば | 作成日時:2023年1月22日 23時