レベル51-past edition- ページ3
「＿＿も、＿＿＿＿んだ」
雪がちらつく夜更けに、Aの掠れた声がローの耳に届く。何を言っているか聞き取れず「あ？」ともう一度言うように催促すると、力無く、心底疲れたように呟いて、彼女は意識を失った。
「死ぬことも、許されないんだ」
「っ！？おいっ！」
脈はどんどん弱まっているが動いている。ボロボロの容姿を見て、何かあった事は安易に理解できる。ローはAを抱き上げ、部屋を取っていた宿屋へ駆けた。放浪癖でこの島に訪れ、宿屋で夜を過ごしていたのだが、寝付けず外に出て散歩していた時にAを見つけたのだった。
こんな時間帯に病院など開いている筈もなく、医療器具があるわけでもない。しかしローは持ち合わせている知識を駆使して何とか有り合わせの物でAの様子を診た。
その時に腕や足から覗く異様なほどの傷跡に息を呑む。一目で虐待を受けていると分かった。手当ても施されていないのだと気付いたのは、化膿した足を見た時だった。
そして脳裏に浮かぶAの放った言葉、生気の無い目。怒りも悲しみも表さない表情はまるで人形のようで、諦念した様子はまるでガキの頃の自分のようだ、とローは思った。
「······」
死を望むならそうさせてやればいい。他の海賊ならば出来ただろう。
しかしローには出来なかった。医者である手前、患者をみすみす死なすことは出来ないし、何より自分と同じようなAを放っておけなかった。
ローの的確な手当てによって、意識をとりとめたAが目を覚ましたのは二日後の夜だった。
(もういいのに。まだ、生きてる)
倒れる直前の記憶を振り返り、自分に話し掛けてきたローを思い出していた。今度は彼の支配下に置かれ、あの店と同じ扱いを受けるのだ。そう考えると彼女の心臓がチクリと痛んだ。
しかし、腕や足にはAが見たこともない包帯や絆創膏が付いており、自分の血や埃で汚れていた服は、真っ白な服に変わっていた。都合のいい夢を見ているのだと頬をつねったが、痛みが残っただけだった。
「目を覚ましたか」
「！」
ドアの向こうからローが入ってきて体を震わせたAは、寝かされていたベッドの端にじりじりと寄っていく。見知らぬ場所、見知らぬ人、彼女を真っ先に支配したのは恐怖だった。
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水飴(プロフ) - 琴葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！とても励みになります···！ゆっくりと更新していきますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (7月31日 10時) (
レス) id: bc02f2c7ae (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - この作品を何度読み返しても､心の動きに惹かれ検索をかけても無意識に辿り着く作品です。ONEPIECEを最近知り､パンクハザード編を見終えた新参者ですが、更新これからも楽しみに待っています。どうかご自身のこと優先でお体に気をつけてお過ごし下さい…！ (6月25日 8時) (レス) @page16 id: 2a7eef1005 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - もちふわさん» コメント有難うございます！ご指摘有難うございます、直ちに直させて頂きます！ (2022年11月13日 14時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
もちふわ - 指摘です。前作のprofileのところの容姿のところにタトゥーや刺青って書かれてるけど、タトゥーと刺青は同じ意味ですよ。 (2022年11月13日 13時) (レス) id: 33de98826c (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょ＠テスト終了まで低浮上さん» さくちゃぁぁんありがとう〜！！私も予期してなかったけど続編行っちゃった！完結まで突っ走れるように頑張るねぇぇ！！！ (2022年10月9日 10時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/mxa_1031
作成日時：2022年10月8日 21時
