レベル64 ページ16
「でっかい島だな〜」
「酒場もあるし、久し振りに呑めるな！」
島に上陸してから偵察を兼ねて通りを歩いている道中、酒が呑める、美人がいっぱいと興奮しているペンギンとシャチを横目に、私は風景を見ていた。
一見普通に発展した街のように見えるけれど、裏路地に目をやれば痩せ細った子供や老人が物影からこちらを見ている。通りに出たくても出られない、そう訴えかけるような目をしていた。
昔の自分を見ているようで、堪らずその男の子に近寄った。男の子はびくっと肩を震わせながらも、どこか期待を諦めきれない目で私を見上げる。その子の手をそっと引いて通りを歩けば、さっきまで見向きもしなかった住民が何か可笑しな物を見るような目でこちらを見る。
男の子はずっと俯いていた。いたたまれなくなって逃げ出したかったのが目に見えて分かるのに、私の手を離すことはしなかった。私はその強い子に、近くの屋台に売っているパンと果物を買い与えた。
一人で食べるにはあまりにも多いその量に男の子は不思議そうに私を見上げる。
その直後にお腹の虫が鳴り響いて恥ずかしそうにしていたその子の頭をそっと撫でた。
「みんなと分けあって食べてね」
「！······ありがとう、おねえさん！」
痩せこけた頬にほんのりと赤みが射して、嬉しそうに走っていった彼の背中を見届けると、通行人は怪訝な表情を浮かべたり、くだらないと言いたげな表情をしながらそそくさと歩いていく。
誰ひとりとして手を差し伸べる素振りすら見せない住民から、この国の性格や背景が嫌でも見えるようだ。
「あ、見失っちゃった······」
同行していた二人の姿はとうに消えており、はぐれてしまったことを悟る。単独行動はするなと船長に言われたというのに、と後悔してももう遅い。一人で偵察するか、と思った瞬間後ろから肩を掴まれた。驚いて振り返ると、さっきまでいなかった船長が私を見下ろしている。
「あ、せ、船長＿＿＿＿＿＿」
「着いて来い。おれの傍から離れるな」
「えっ、あ、はい······！」
怒られると思って弁明しようとする私の声を遮って、端的に用件を伝えてそそくさと歩く。呆気に取られている暇もなく、船長の背中を追いかけるばかりだった。
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水飴(プロフ) - 琴葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！とても励みになります···！ゆっくりと更新していきますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (7月31日 10時) (
レス) id: bc02f2c7ae (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - この作品を何度読み返しても､心の動きに惹かれ検索をかけても無意識に辿り着く作品です。ONEPIECEを最近知り､パンクハザード編を見終えた新参者ですが、更新これからも楽しみに待っています。どうかご自身のこと優先でお体に気をつけてお過ごし下さい…！ (6月25日 8時) (レス) @page16 id: 2a7eef1005 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - もちふわさん» コメント有難うございます！ご指摘有難うございます、直ちに直させて頂きます！ (2022年11月13日 14時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
もちふわ - 指摘です。前作のprofileのところの容姿のところにタトゥーや刺青って書かれてるけど、タトゥーと刺青は同じ意味ですよ。 (2022年11月13日 13時) (レス) id: 33de98826c (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょ＠テスト終了まで低浮上さん» さくちゃぁぁんありがとう〜！！私も予期してなかったけど続編行っちゃった！完結まで突っ走れるように頑張るねぇぇ！！！ (2022年10月9日 10時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/mxa_1031
作成日時：2022年10月8日 21時
