レベル49-past edition- ページ1
「綺麗になったね······ここでの暮らしは順調かい？」
取り繕った容姿だけを見て、普通の生活を送れているのだと考えているガルダは本気でそう思っていた。ガルダ自身に人を見る目が無いのだ。目が節穴とはまさにこの事である。
Aは何も言わずただただガルダの傍で座っていた。正直そんな事もしたくはなかったのだが、ここで癇癪を起こされては堪ったものじゃない。
「君が"ここを離れたくない"と言い出さないかだけが不安だよ」
「えっ······」
ガルダの言葉に思わず反応してしまったAに、嬉々とした表情で彼女に詰め寄るガルダ。既に50に差し掛かる年齢のガルダの手がAの肩に触れる。触れるだけにしては力が籠っていて、手つきが気持ち悪い。
「君が16になったら、私の所に嫁いでもらおうと思うんだ。ここよりも良い生活を保障するし、君は何もしなくて良い。ただ、私の傍に居てくれるだけで良いんだ」
悪い話じゃないだろう、と笑うガルダの瞳は欲望で濡れていた。ガルダの手がするすると腕を伝い、手を握ってきた。その手をすぐさま払ってしまいたかったAだが、歯を食いしばって耐えていた。耐えることには慣れたはずなのに、どうしてこんなにも耐え難く思ってしまうのだろう。
また３年後、と言って大金を置いていったガルダの背を見送り、視界から消えた後緊張の糸が解れたように体が震えた。訳が分からなかった。どんな神経をしていたら他人に世話を任せるほどに嫌いな子供を嫁にしようと考え付くのか。
自分が王族の血を僅かながらも引いている事を知らないAは、言葉にならない不快感を抱えた。ガルダの接待をさせる為だけに準備されていた普通の生活から一転、Aはまた冷たい部屋で日々を過ごすことになった。
それから一週間後の事だった。
またあの悲惨な生活に急に戻ったせいか、Aは体調を崩してしまった。咳がよく出るようになり、手足の感覚が鈍くなった。頭もぼんやりとしていて、いつもは体の芯から冷えてしまいそうな床の冷たさが、今は気持ちよく感じる。
(······雪だ、気持ち良さそうだなぁ)
窓の外を見たその時、不意にAの中でここから出たいという衝動が走った。抜け道も抜け穴も無く、鉄格子の窓ひとつだけの部屋からどうやっても抜け出すことなど出来ないように思えたが、意外な救世主が彼女の前に現れたのだった。
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水飴(プロフ) - 琴葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！とても励みになります···！ゆっくりと更新していきますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (7月31日 10時) (
レス) id: bc02f2c7ae (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - この作品を何度読み返しても､心の動きに惹かれ検索をかけても無意識に辿り着く作品です。ONEPIECEを最近知り､パンクハザード編を見終えた新参者ですが、更新これからも楽しみに待っています。どうかご自身のこと優先でお体に気をつけてお過ごし下さい…！ (6月25日 8時) (レス) @page16 id: 2a7eef1005 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - もちふわさん» コメント有難うございます！ご指摘有難うございます、直ちに直させて頂きます！ (2022年11月13日 14時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
もちふわ - 指摘です。前作のprofileのところの容姿のところにタトゥーや刺青って書かれてるけど、タトゥーと刺青は同じ意味ですよ。 (2022年11月13日 13時) (レス) id: 33de98826c (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょ＠テスト終了まで低浮上さん» さくちゃぁぁんありがとう〜！！私も予期してなかったけど続編行っちゃった！完結まで突っ走れるように頑張るねぇぇ！！！ (2022年10月9日 10時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/mxa_1031
作成日時：2022年10月8日 21時
