レベル３ ページ5
掃除を終えて夕食を食べる時間になっても、船長は部屋から出てこなかった。
どうせいつものように医学の難しい本を読み漁っているのだろうが、少なくとも私は船長と食卓を囲んで食べたいと思っているのだ。
私に誰かとご飯を食べることの楽しさを、美味しさを教えてくれたのは船長だから。
ということで、私は船長に夜食を持っていき、船長と食べることにした。
本人はきっと邪魔だとでも言いたげな顔をしてあしらうのだろうけど。
「船長、ご飯食べましょう」
「後で食う。そこに置いておけ」
医学書を読み耽っている船長をじっと見つめていると、視線が気になったのか、遂に視線をこちらに向けた。そしてここぞとばかりに夜食を突き出すと、渋々と言ったように受け取ってくれた。
船長の好物であるおにぎりに、ちょっとした野菜のスープと肉炒め。
今日の夕食はみんな全て平らげてしまったので、私が作った。
栄養バランスも大切だと思ったのだが、船長はおにぎりだけでいいと言った。医者がそれを言っちゃいけないだろ、と口には出さないものの心の中でツっこまざるをえなかった。
「量が多くないか？」
「船長と食べるために私の分も入ってますから！おにぎり、選んでくださいね」
場合によっては船長が梅干しのおにぎりを食べることになる。ちょっとした嫌がらせだ。
確率は５分の１。船長が梅干しおにぎりを食べた反応が見たいがために作ったのだ。絶対怒られると分かっていても試したくなる。一か八かの賭けみたいな物だ。
「お前、梅干し入れやがったな？」
「一つだけですし、引かなきゃ済む話ですよ」
「······梅干し食わせたらバラしてやる」
最高に恐ろしい睨みと脅しを私にしたあと、船長は恐る恐る一口食べた。
しかし彼が食べたのは梅干しではなかったらしい。黙々と食べていた。少しがっかりしながら私もおにぎりを手に取って食べると、口内に酸っぱさが満ちていく。
「梅干しだ······船長に引かせたかった······」
「ざまあねェな。自分で作ったんだったら場所くらい覚えとけ」
鼻で笑われた気がするけれど、久し振りに船長の笑った顔を見たかもしれない。
結局完食してくれるあたり、優しい人だと思うのだ。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
