レベル37 ページ39
闘いが終わってから二週間。島民も次第に回復していき、半壊しかけていた街も復興に向かっているそうだ。私も既に傷口が閉じて、動けるようになった。
私が意識を取り戻した翌朝、シャチとペンギンが良かったと言いながら泣きついてきたのは驚いた。ごめんなさいとありがとうを言うと、更に涙を流して「怪我人が一丁前にそんなこと言ってんじゃねェ！自分の心配しやがれ！」と涙声で怒られた。
怪我の治りが人より早いのが密かな自慢なので、もうそんなに手を貸して貰わなくても一人で行動できるのだが、シャチは引っ付いてくるし、ペンギンは世話焼きに拍車が掛かった。
それだけ心配させてしまったという事なので勿論罪悪感はあるのだが、こうもなると鬱陶しくなってくる。我ながら贅沢な悩みだと思いつつも、二人が離れている瞬間を見計らって、船長の元へ行った。
部屋に行けば、いつも通り本を読み漁っている。床には何冊もの分厚い医学書が重ねられていたり、崩れて散らばった本で足場が無くなったりしている場所もあった。
少しずつ整理しながら船長の傍に行くと、本を見つめたまま何の用だ、と聞いてきた。
「お願いがあるんです」
ずっと前から考えていた、けれど勇気がなくて言えなかった願い。
私の家族を知るため、私自身を知るために故郷にもう一度足を踏み入れたい。
決して良い思い出は無いし、またあの人に出会ったらと思うと足がすくみそうになるけれど、あの島は紛れもなく私の産まれた場所で、唯一両親について知れる可能性を秘めた場所だ。
「······どんなに酷な事実が待っていても、逃げるなよ」
鋭い眼孔に捉えられ一瞬たじろぎそうになったが、力強く頷いた。
もう私は何も知らない子供じゃない。何も持たない子供じゃない。
力を、愛情を、仲間を、楽しみを、幸せを、自由を知った。
「ベポに伝えてこい。進路変更だ」
そして、私を救ってくれた人が傍にいる。
だから何があっても大丈夫。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
