レベル34 ページ36
「キャプテンっ！Aを診てください！！」
シャチにおぶられて船に帰ってきた。
船内は今も患者の治療のために奔走しているクルーたちで忙しそうだ。
帰ってくるまでの道のりで、毒が抜けきっていないペンギンは体を動かしづらそうにしていたし、シャチも苦しそうに顔を歪ませていた。これ以上二人に迷惑を掛けるわけには、と自分で歩きたいと言ったのだが、一向に許してはくれなかった。
私もそれ以上強く言えなかった。言えば辛そうな顔をするから。
霞む視界に、私の血で染まったシャチのつなぎが見える。
ぜえぜえと息をするシャチの悲痛とも聞こえる叫びは船長の耳に届いたらしい。
船長の焦ったような声が聞こえる。いきなり負傷したクルー三人が帰ってくれば、驚くのも無理は無いよな、なんて。多量出血で朦朧とする意識でそんなことを考えていた。
「船長······二人、を手当して······くださ、い」
「ッ、馬鹿言うな！お前の方が重傷だろ！！」
「だって······ペンギン、毒、吸って＿＿＿＿＿」
命に関わるのは二人だって同じだ。船長が私をシャチから取り上げ、努めて冷静に的確な指示を飛ばしていく。クルーである私たちも多少の医学は知っているが、やはり船長には敵わないのだ。
だから毒を吸ってかなり時間が経っているペンギンと、骨が折れているかもしれないシャチを先に診て欲しいのだという気持ちを伝えたくて、船長の服を掴む。
船長はそんな私を見て、落ち着かせるような声色で大丈夫だと言った。
私を安心させたくて言ったのか、はたまた船長が自分に言い聞かせているのか。
「お前もあいつらも救ってやる」
だから、今は眠れ。
何てことのない、いつもの調子の船長の声だった筈なのに、どうにも私の耳には船長の悲痛な叫びに聞こえた。何かを我慢するように唇を噛み締めているのを見たからだろうか。
「輸血の準備だ。手の空いてる奴は手術室に来い！
ペンギンは解毒剤を飲んでおけ。シャチ、患部を＿＿＿＿＿＿」
船長の腕の中でゆらゆらと揺られながら、今日は俵担ぎじゃないんだとか、テキパキしている船長格好いいなとか、緊張感も危機感も糞も無いような事を考えながら、深い眠りに落ちていった。
(後で泣きそうになっていた二人には謝っておかなきゃいけないな)
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
