レベル24 ページ26
夜番をしているはずのAは、ローの隣で船をこいでいた。
頭がカクカクと不定期に揺れて、いつ体勢が崩れても可笑しくはなかった。ローが声を掛ければすぐに意識を取り戻すが、暫くするとまたうたた寝をしている。
数回はその様子を見て楽しんでいたローだが、次第に眠りに入るまでの時間が短くなっていくAは遂に甲板に寝そべろうとした。
「すみません、船長······五分だけ······」
寝かせてください、という言葉が口から出てくる前に眠りに落ちたA。サンジから貰ったホットミルクが効いたのだろうか。夜番で眠ったことがない彼女が初めて居眠りをした瞬間である。
五分で目が覚めるとは到底思えない熟睡っぷりにローも起こす気が失せた。
しかし後からどうして起こしてくれなかったんですか、と言われるのも嫌なため一度だけ声を掛けた。
反応は示したものの、やはり起きる気配は無かった。
ローの上着を羽織って眠っているAの寝顔はあどけなく、まだ二十歳にもなっていない少女なのだと思い知らされる。
ローは甲板に突っ伏して眠っているAの腕をそっと引き、自分の膝に頭を乗せさせた。
所謂膝枕である。そしてすやすやと眠る彼女の髪をぎこちない手つきで撫でた。
産まれてすぐ天涯孤独となったAには、実の母親にこうして膝枕をして貰うことも、頭を撫でられることも、はたまた抱き締められることすらも無かったのかもしれない。
同情をしたところでどうにもならず、彼女の両親が注いでくれるはずだった愛情の代わりになんてならない。
それでも。
それでも、自分がコラさんと出会って救われたように、再び愛情を注いで貰ったように。
Aが生きることに対して悲観的になることなく、産まれてよかったんだと心から思えるようになれるのなら、この小さな手を離すことだけは決してしない。
愛情を注ぐ、だなんて言葉にできない代わりにそんな不器用な思いを胸に刻んだのは、今宵と同じく満点の星が輝き、Aと出会って一年後の夜だったとローは思い出していた。
無論、その意志は今も変わることはない。
しかしあの頃の「使命感」だけの誓いとは違い、「愛情」が伴うようになった。
他のクルーたちに向ける親愛の情ではなく、もっと深みのあるもの。
その情がAに向ける彼の表情や態度を優しくしたのだが、本人もまだ自覚は無いようだ。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
