レベル23 ページ25
医者の言うことは聞いておくものだ、と言うと案外素直に部屋に戻ったゾロさん。
去り際に頭を乱雑に一撫でされたのは何だったのだろうか。彼の心情など知る由もないが、あの様子だと警戒はされていないんだろう。
その後もちょくちょく誰かが甲板にやって来ては、私に声を掛けてくれる。
チョッパーは植物や薬草について、ブルックさんは音楽について、フランキーさんは彼が作ったものについて、ウソップは冒険奇譚について話してくれた。
どれもうちでは聞かないものばかりで面白くて、時間も一人でいるときよりずっと早く進んでいる感じがした。みんなが寝静まる頃にはサンジさんがホットミルクとちょっとした軽食を用意してくれて、背徳感と少しの優越感に浸りながら味わっていた。
そうして刻々と時間は過ぎていくものの、船長は甲板に現れない。
眠っているならそれでいい。元々一人で夜番をするつもりだったのだから。
でも、それでも少しだけ、ほんの少しだけ一人が寂しいと感じてしまうのは我儘だろうか。
この船は日中も夜も騒ぎ声や笑い声が絶えなくて、楽しかったから余計そう感じてしまうのかもしれない。
急に訪れる静寂は、こんなにも冷たいものなのかと驚くほどに。
「おい、寝てるのか」
三角座りをして踞っていると、頭上から船長の声が聞こえた。
起きてます、と顔を上げると顔に何かが降ってきた。ハートの海賊団のマークが入った船長の上着。本人は黒のシャツにジーンズを着ていた。
愛刀の鬼哭を携えてこちらを見ていた船長は、どかっと私の隣に座って胡座を掻いていた。
この上着は、と聞くと羽織っとけ、と短く返された。日に日に涼しくなってきているからだろう。
「船長の方こそ風邪引きますよ。お風呂、入ったばかりでしょう」
「だからだ。風呂から上がったばかりで暑いんだよ」
はあ、と溜め息を吐く船長を横目に、上着を言われた通り羽織る。当たり前のように大きくてすっぽりと覆われてしまう。少し顔を埋めれば船長の匂いがする。
さっきまで感じていた寂しさも冷たさも、全部暖かさに溶けていく。
「······何笑ってやがる」
「いえ、何も無いですよ」
ここは賑やかで楽しいですね、と言うと煩いの間違いだろ、なんて言う船長。
顔がとてもそんなことを思っているようには見えない表情をしている。
本当に意地っ張りで不器用な人だ。
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水飴(プロフ) - なつみさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！作者の私情の関係にもよりますが、いずれはどちらも書かたら良いなと思っておりますので、お楽しみにして頂けたらと思います！ (2022年9月16日 0時) (
レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - どっちもみたいです!!!! (2022年9月15日 20時) (レス) @page25 id: dfa30137f5 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょさん» コメントありがとうございます！頑張ってどちらも書けたら良いなと思っています😌 (2022年9月12日 21時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - エース、コラさん・・。どちらも気になりますね・・！ (2022年9月12日 21時) (レス) @page25 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - グエグエさん» 初めまして、コメントありがとうございます〜！私のやる気があればいずれどちらも書くと思いますのでお楽しみに...！ゆっくりと更新頑張ります！ (2022年9月12日 11時) (レス) id: 6a94704c3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作成日時：2022年8月20日 16時
