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【変装と着物と姉】
『イル、これは何かしら』
「着物」
『そうじゃなくて。どうして私が着物を着なくちゃならないのかって聞いているの』
重苦しい帯をなぞり、大きな溜め息をつくA。自身の身体にぴったりの着馴れない着物は動きずらく、おまけに仮面で顔を覆われている。
「変装だよ、変装」
『変装?』
「ハンター試験に行こうと思ってさ。あ、キルが家出したのは知ってる?」
『あら、キルが?知らなかったわ』
「母さんとミルキと口論になって、キルが二人を刺して出てったんだよ」
『お母様、喜んでたでしょう』
「うん。それでそれとなく様子を見てきてほしいってさ。ついでに今度の仕事で必要なハンターライセンスも取ろうと思って」
『でもそれはイル、あなたの仕事よ。私には何の関係もないわ』
「オレもAも会えないのはキツいでしょ。多分キルもハンター試験にいると思うから念の為の変装」
『……はぁ、』
会えないのはキツい。イルミは心の持ちよう的に。Aは身体と同じように誓約と制約的に。こればかりは重い溜め息をつくしかなかった。
なんでこんな面倒な誓約と制約なんだろうか。決して自分が決めたものではなく、そしてそれを解除することも出来ない歯痒さに苛つく。
『キル。キルはどうするの?』
「勿論、連れ戻すけど」
『……あの子の人生はあの子の人生なんだから好きにさせてあげれば良いのに』
「とか言って姉さん、基本どっち側にもノータッチだよね。何で?」
『面倒なのは嫌いだもの。継いでほしいお父様の気持ちも、好きに生きたいキルの気持ちも分かるから』
分かるからどちらの味方もしない。父親よりもキルアに肩入れ気味かもしれないが、結局は大事なところでは一切手を出さないのだ。
面倒だし、何より自分には関係ないと思いたい。家の方針だのなんだのには深入りすると、後々自分の首を絞めることになったりする。
『まぁ、ハンター試験は行ってあげる』
イルミの顔を見ず、鏡を見ながらそう答えた。
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奈那 - とっても面白いです！！私の性癖にドストライクでした！！応援してます！！更新頑張ってください！！ (2021年10月17日 12時) (
レス) id: 7127803f97 (このIDを非表示/違反報告)
京凛(プロフ) - めっちゃ好きです!!!応援してます!!更新頑張ってください!! (2021年9月11日 20時) (レス) id: c8e77dbc20 (このIDを非表示/違反報告)
セーラ - とっても面白かったです！私の好みドンピシャでした！続き待ってます！ (2021年9月8日 15時) (レス) id: 837a48d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年8月21日 14時
