Pansy【Juri】 ページ23
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「 いいんちょーってどんな人が好きなの？ 」
放課後の、夕日が差し込む教室。
クラスメイトは私と彼の他に一人も残っていなくて、
教室には、ぱちぱちと資料を止めるホッチキスの音、たまに話しかけてくる彼の声だけが響く。
学級委員なんて所詮先生のパシリだなんて、質問をスルーして考えていると、
彼の細い指が伸びてきてコンコン、と机を叩かれた。
「 ね、聞いてる？教えてよ好きなタイプ 」
「 …喋ってないで手を動かしてもらっても？ 」
ケチ、なんて呟きながら目の前でホッチキスを握る男子…田中樹は、学級委員ではない。
ピンク色の髪にたくさんのピアス、ネックレスやらチェーンやら、光る物をとにかく身につけた彼の風貌を見れば、そういうタイプじゃないことは一目瞭然だろうけど。
「 そんなこと聞いて何になるの 」
「 ん？色々と参考になる 」
「 … 」
一体何をどう参考にすると言うんだろう。
こんな一個人のタイプなんて反映しなくても貴方は十分に人気があるじゃないか。
そう返すのも面倒で、ぱちぱちと鳴るホッチキスの音に紛れて小さく溜息を吐いた。
「 あ、溜息吐いた 」
「 … 」
「 幸せ逃げるべ 」
「 余計なお世話 」
だから早く手を動かせって言ってるんだけど、って睨むと、すいませーん、なんて心の篭ってない返事。
ち、と舌打ちしたくなったけど、そっからしばらくは黙って手を動かしてくれたのでまぁ良しとする。
「 ねぇ田中 」
「 違う、樹 」
「 … 」
「 俺のこと苗字で呼ぶのいいんちょーぐらいなんだけど 」
「 …田中はさ 」
田中の言いたいことをスルーして、なんでいつも手伝ってくれるの、って口にすれば
私の反応が気に入らなかったのか、彼は何も言わない。
拗ねたかもなってそっと手元から顔を上げると、予想外にも田中は私を見ていて、視線がぶつかった。
「 なぁ、今何考えてる？ 」
「 … 」
「 俺のこと？ 」
「 …、進路のこと 」
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作者名：朔×紺
x他1人 | 作成日時：2021年9月18日 9時
