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あれ？って。
なんか、なんだろう、雰囲気が。
触れられている手が、熱い。
「 …ごめん。クラスが離れてさ、どう、近づいたらいいか分かんなくて 」
「 う、ん 」
「 廊下で見かけても声掛ける勇気、ないから。よく読んでた本とか思い出して、読んでみたり 」
「 … 」
「 その本につられて、似たような河川敷探して来て恋占いとかしちゃって 」
ゆっくりと並べられていく言葉を耳にしながら、
目を伏せている京本くんの、長い睫毛ばかり眺めていた。
「 そしたら偶然会えたから、もうこれしかないと思って。
来れる時はこっち来てたのに…花村さん、全然通んないし 」
「 あ…ごめん、私も普段はここ通らないんだよね 」
「 っマジか… 」
「 …ごめん 」
痛いぐらい、心臓が鳴ってる。
…期待してる。
別にいいけど、って顔を上げた京本くんの視線は、私のもう片方の手の中にある、花だったモノへ。
「 花村さんが好きな人は、花村さんのこと、好きなんだ 」
「 この占いだと、そうだね 」
「 ふーん…両想いじゃん 」
両想い、かな。
本当に当たっているのか、違っているのか。
高まるばかりの期待と、もしもを想定した時の緊張で震える唇から、意を決して言葉を放った。
「 両想いがいい、な 」
「 …うん 」
「 答えが分かるのは、京本くんだけだよ 」
「 ……、え？ 」
「 知りたいから、…教えて 」
自分から言う勇気ないくせに、ズルいかな、こんな聞き方は。
ごめんね、って思いながら彼の顔を見つめれば、
目を見開いたまま固まった京本くんから、え、う、あ、？って謎の効果音。
白い肌が、真っ赤に染まってる。
「 ……、マジ？ 」
「 マジ、です 」
「 …マジか、 」
腕で口元を覆った京本くんは、ずるずると、私の右手を握ったままその場にしゃがみ込んだ。
少しして、大きな瞳だけちらっとこちらに向けて、困ったように笑う。
「 俺の恋占い、外れてるんだけど 」
「 あ…、確かに 」
「 でも花村さんのは当たってる 」
そうだねって笑ってみせると、少し間を置いて、京本くんがすっと立ち上がって。
手は握られたまま、しっかりと絡む視線。
「 俺の彼女に、なってくれますか 」
「 っ、はい…！ 」
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作者名：朔×紺
x他1人 | 作成日時：2021年9月18日 9時
