陸拾捌 “〃 (15)” ページ26
気持ち良さそうに手に擦り寄ってくる咲楽を見て決心した。
今は不安になっている時では無い。
出来ないかもしれないでは無くて、やらなければならないんだ。
全てを知っている私が。
あの子の望みを知っている私が。
この異能を持っている私が。
過去に同じ事を経験した私がやらなければならないんだ。
助けなければならないんだ。
___あの人を見殺しにした癖に?
二人は、じっと此方を見ていた。
(正確には眠っている咲楽の事をだが)
そんな二人に私は静かに話しかける。
『今回の抗争で私達は沢山のモノを奪い、そして失いました』
「嗚呼」
「そうだな」
『この子達からは両親とのかけがえのない時間……明るい未来を一方的に奪ってしまった』
二人に向けていた視線をもう一度咲楽や子供達の方に戻した。
二度とこの子達の苦しい表情を見ない様に今、この目で姿を目に焼き付ける。
咲楽に掴まれている手とは反対の手を強く、強く握り締めた。
『だからこそ、もう光を奪わない様に……奪わせない様に……』
「俺達が子供達を護る、だな」
私の云いたい事を察していたのか作之助さんが少し笑い乍ら云った。
再度作之助さんの方へ視線を戻して、その通りだと告げる様にニッコリと微笑する。
「そうだな、何があろうと護ろう。大丈夫、俺達が協力すれば出来るさ」
仁も自分自身の固く握り締めていた拳を見て、私達に云い乍らも自分に云い聞かせる様に云って笑った。
大丈夫、今はこの三人で護りきれる。
抗争が終着を迎える中、私達三人は強く決意した──────。
*
(『太宰さんお疲れ様でした……おや?其方の子達は?』)
(「お疲れ様。拾って来たのだよ、前に云ってた子達さ。忙しいAには申し訳ないのだけれども、森さんに逢わせる前に衣服やその他諸々頼めるかい?」)
(『ええ、畏まりました。じゃあ私の部屋に行きましょうか。“龍之介君”、“銀ちゃん”』)
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黒龍(プロフ) - Mさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います^^ (2019年11月23日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
M - とてもおもしろかったです。 (2019年11月23日 1時) (レス) id: 5a0fa58d7d (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - りーこさん» 有難う御座います!頑張って続き書いていきますね (2019年6月24日 12時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - 続きが楽しみです (2019年6月24日 6時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2019年6月21日 21時