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陸拾漆 “〃 (14)” ページ25






『こんなに……』


「……ああ」




目の前には四人、そして今連れて来た子を含めて五人の子供達が毛布に包まり乍ら眠っていた。皆、泣いていたのか薄らと涙の痕が残っている。
面倒を見ていたのか、仁の顔には疲労の表情が見えた。




「Aも作之助も無事で何よりだ」


「仁、有難う」


「気にするな。それよりも如何するんだ?首領に見つからない方が善いぞ、絶対」




仁は子供達の方を指差して問うが作之助さんは何も考えていなかったようで少し困った表情をして悩んでいた。




『私達は本社楼閣に住んでますし、首領に直ぐ見つかる可能性がありますね……此処は作之助さんお願い出来ませんか?』


「俺がか?しかし……」


「作之助なら大丈夫だろう。若しお前自身が無理ならば知り合いに頼めば佳い。保護先の情報は俺等が何とかする」




仁の提案の甲斐もあってか、作之助さんは暫く渋っていたが何かを決心したように頷いた。




「一つ宛がある、そこに頼んでみよう」


「決まりだな」




原作だと私と同じ様に洋食屋の店主である親爺さんに頼む筈だ。何としてでもこの情報は隠し通さねばな……
二度と私達の都合で子供達を巻き込んではいけない。


先程連れて来た女の子_名は確か咲楽(だったか?)は未だに苦しげな表情のまま眠っていた。
小説によれば黒の時代編で4歳だったから……今は2歳か……その歳じゃないとしても親という愛する存在を失えば誰でも辛くて悲しいだろう。


そっと頭を何往復か撫でてやると苦し気だった表情は次第に柔らいでいった。
きゅっと服の袖を掴まれて起きたのかと思い、少し驚いたが咲楽は眠ったままだったので安堵する。




「Aは子供をあやすのに手慣れているな。弟や妹でも居るのか?」




何気無い作之助さんの問いに心臓がドクリと嫌な音を立てた。


私が慣れている様に見えるのは弟や妹が居たからでは無い、前世であの三人を養っていたからだ。
だが、その三人も私のせいで亡くなってしまった。


私の服の袖を、その小さな掌で掴んでいる咲楽を見て頭の中に幾つもの疑問が思い浮かぶ。


私は子供達を守る事が出来るのか?
又、苦しい思いをさせてしまうのではないか?
又、差し伸べた手は何も掴めないのではないか?
───又、殺してしまうのではないか?




「A?」




作之助さんの声でハッと我に返った。
不思議そうな顔をしている二人に小さく微笑み家族は居ないと告げ、又咲楽の頭を一撫でする。

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黒龍(プロフ) - Mさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います^^ (2019年11月23日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
M - とてもおもしろかったです。 (2019年11月23日 1時) (レス) id: 5a0fa58d7d (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - りーこさん» 有難う御座います!頑張って続き書いていきますね (2019年6月24日 12時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - 続きが楽しみです (2019年6月24日 6時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2019年6月21日 21時

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