陸拾 “〃 (7)” ページ18
「ははは。そう云って皆、せっせと抗争に燃料をくべるのさ。抗争自体への対策は森さんに任せておけば問題ない。私達が警戒すべきは、寧ろこっちだ。これを見なよ」
資料の下に隠れてあった一枚の写真を中也さんに見せると彼は不思議そうな顔をして首を傾げた。
「?何だ、この写真?死体か……誰の死体だ?」
『ポートマフィア現幹部、通称“大佐”ですよ』
「な……!あの爺さん、死んだのか!?あり得ねえ!地面を液状化させて操る、あの爺さんの異能に勝てるやつなんている訳ねえ!誰がやった?」
「“白麒麟”だ。奴の異能は未だに不明だが……恐らく“白麒麟”は異能者を殺せば殺すほど強くなる」
「何だと?なら……“白麒麟”にとってこの抗争は、絶好の猟場で餌場って事か。どうすんだ、そんな奴」
「やだなあ中也。感想が違うよ。幹部候補の我々にとってはね。“これで幹部の席がひとつ空いた”……だろ?」
その言葉を聞いた瞬間、中也さんは太宰さんの頬をぶん殴った。性格からにして判らない事も無いが流石に今のは痛いと思う。
「……いきなり殴るなんて酷いな」
「殺されなかっただけ感謝しろ」
「全く……痛いなあ。私だって人間なのだよ?」
「誰も信じねえよ……“白麒麟”の野郎は俺が何とかする。手前はそこで死ぬまで寝てろ」
来た時と同様、凄い力で閉めたので心做しか扉が泣いている気がした。
私が扉だったら、もっと平和な家族の家の扉になりたい。あ、絶対に梶井さんの部屋の扉だけにはなりたくないな。爆破で木っ端微塵だ、痛過ぎる。
「ふふ……酷いなあ」
『太宰さん、無理して何時もの様に振る舞わなくて善いんですよ』
殴られた頬を擦り乍ら太宰さんは無理にヘラヘラと笑っていたので頭を撫でると、猫の様に目を細めて気持ち良さそうに数分の間、黙って撫でられ続けていた。
「……ねえ、昨日云った作戦書もう出来てる?」
『此方に』
私からの資料を受け取り、一通り目を通せばニッコリと微笑み礼を云われた。
「流石はAだ。私のどの部下よりも具体的且つ簡潔に纏めてる。ねえ私の補佐にならない?」
『太宰さん、話を逸らすのはいけませんよ?私が云いたい事を承知の上で、態と御世辞を仰っている事ぐらい直ぐに判ります』
「本心なんだけどなあ」と零す太宰さんの手を取り確りと目を合わせる。
『口出しは致しません。ですが何かあれば直ぐ駆け付けます……どうか、御無理なさらずに』
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黒龍(プロフ) - Mさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います^^ (2019年11月23日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
M - とてもおもしろかったです。 (2019年11月23日 1時) (レス) id: 5a0fa58d7d (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - りーこさん» 有難う御座います!頑張って続き書いていきますね (2019年6月24日 12時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - 続きが楽しみです (2019年6月24日 6時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2019年6月21日 21時