肆拾伍 “〃 (3)” ページ3
「A君、凄い音がしたけれども本当にそれ大丈夫!?」
『大丈夫です、何も問題ありません』
「いや額から血が出てるからねっ!?ほら、消毒するからそこに座って!」
ガシッと肩を掴まれて何時も首領がヨコハマの街を眺める時に座っている骨董調の赤い椅子に無理矢理座らされた。
丁度その時隣室で着替えていたエリス嬢がドレスを着終えて笑顔で部屋に入って来た。
そして額から血を流している私と肩を掴んでいる首領を交互に見て、その笑顔は消えた。
「リンタロウ、最ッ低。Aこっちに来て、手当てするわ」
「エリスちゃん!?私は何もしてないからね!?」
『済みません、首領。私が貧弱なばかりに……』
「貧弱以前に冷静になる為に壁に頭を全力で打ち付けないようにしようか……綺麗な顔に傷が残ってしまうよ……」
それは首領の問題発言が影響しているのだが、と云うのは止めておいた。
約二十四歳差。別に人の恋愛について私は何も口出しするつもりは無いが……しかし、幼女は……
エリス嬢が首領から私を無理矢理引き剥がして長椅子の方へ座らせ、救急箱からガーゼや消毒液等を取り出して額の治療をしてくれた。
最後に迚も可愛いらしい兎柄の桃色の絆創膏を貼ってくれたのだが、この歳でそれは少々辛い。
『治療して頂き有難うございます。処でエリス嬢にとって首領はどの様な存在ですか?』
「ロリコン、変態」
『矢張り今直ぐ通報せねば』
「待って!」
*
結論、私は何も聞いていないと云う事にした。
首領は何処か疲れた顔をし、エリス嬢は私の膝上に座って
「真逆A君が福沢殿と同じ反応をするとは……少し不愉快だが、もう触れないでおこう」
『申し訳ございません、首領』
「君は悪くないよ、向こうが全て悪いんだからね。何も気にしなくていい」
私の頭を撫で乍ら首領は虚空を睨み付けている。
福沢殿に少し辛辣過ぎないかと思ったが因縁のある二人だ、仕方が無いのかも知れない。
にしても矢張り理不尽だと思うが。
「さあエリスちゃん、約束通りA君を呼んだし次はこのドレスなんてどうだい?」
「いやよ。見るって云ったけど着るなんて一言も云ってないもの」
「そんなあ!」
しくしくと泣き真似をする首領と気にせずに絵を描くエリス嬢。
之を毎日外の見張りの黒服達は聞いているのか……今度何か差し入れしよう、そう決めた私であった。
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黒龍(プロフ) - Mさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います^^ (2019年11月23日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
M - とてもおもしろかったです。 (2019年11月23日 1時) (レス) id: 5a0fa58d7d (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - りーこさん» 有難う御座います!頑張って続き書いていきますね (2019年6月24日 12時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
りーこ - 続きが楽しみです (2019年6月24日 6時) (レス) id: 140e75a81a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2019年6月21日 21時