ハーシェルの連星 (ページ6)

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………

高3にしてはウブかと言えばそうなのかも知れない。

龍也以外の男の人との交流が少ないまま過ごしてきた私にとって、

異性との付き合い方は、未知の領域で。

「……紹介するね、中村海人くん」

「……」

「こんにちは、うみんちゅって呼んでいいよ」

「……初めまして」

親友の綾香と買い物に行くと約束していたものの、
向こうが男の子を連れてくるとは聞いていなかった。

「……へぇー、ならAさんも綾香さんと同じで俺の一個上なんだ」

海人くんは綾香とバイト先が同じらしい。

「突然連れて来てびっくりしたよね？

海人くん、この辺のお店詳しいらしくて、それで今日遊ぶって話したら来たいってことになって…」

「女の子同士のお買い物、邪魔してごめんね～」

「や、邪魔だなんてそんな…」

「えっ！ほんとに！？」

コロコロ変わる、人懐っこい笑顔。

龍也とは雰囲気が違う。

「ねーねー綾香さん、こっちのお店の方がぜっったい美味しいよ？」

パンケーキが好きみたいで、その後もグイグイ私たちを連れ回してくれた。

「Aさんって結構可愛くない？」

突然褒め出したから何のことやらと思った。

「海人くん無駄だよ、A男の子興味ないから」

「えーもったいないなー」

驚いたかのように、目を丸くして見つめてくる。

犬みたい、というか。

「じゃあれっきとした、友達として、」

手を正面に出され、悪気のなさそうな笑顔で見てくるから、

フォークを下ろして握手に答えた。

ブンブン上下に振られ、

「連絡先も教えてよ」

「…あ、うん」

淡々と、LINEの交換も済ませてしまった。

本当に、友達としてで、それ以外の要素はない。