ハーシェルの連星 (ページ46)

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大学生になった私たちは、親元を離れ二人だけの生活を送っていた。

「……ただいま」

二十歳を目前にした龍也は、ますます男らしく、見た目も中身もかっこよくなった。

「おかえり」

「……オムライス？」

ちょこんと肩に乗せられる。

エプロン越しに抱き締められ、龍也の甘い匂いが擽ったい。

「「いただきます」」

二人向かい合って手を合わせた。

新婚夫婦のような幸せなひととき。

「美味しい、」

大好きな人が喜んでくれることが、何よりの喜びだと思う。

「……今日バイト行かなくても平気なの？」

いつもは夜遅く、バーでのアルバイトに出かける龍也が、珍しくまだ一緒に居てくれるから。

「今日は無くなった。店長が体調崩したから店閉めるって」

「……そっか」

部屋のど真ん中にあるソファーの上、

龍也は私の膝を枕にして寝転んできた。

「………やばい、このまま寝そう」

「いつも大学にバイトで、疲れてるだろうし、寝てもいいよ」

「……でもそれは、Aとの将来のためだから」

「………うん、ありがとう」

その後口数の少なくなった龍也に、

気遣いのつもりで、私は携帯を取り出し話しかけることをやめた。

「………何見てるの？」

真下から、ぼんやりと見つめられた。

「……海人くん彼女出来たって」

「……そっか」

「……ふふ、幸せそう」

「あとは？」

「ネットニュース、今日もチェックしてるよ」

「……何か変わったことあった？」

「……あとちょっとだって」

「……」