Second Opinion

No.21 桃色とトイレ【リク】 ページ21

〆．



「あ、望くん」

「よ」

「いつもここで会うね」

「ここ俺のお気に入りスポットやから」

「………女子トイレが？」



大学のトイレ。

トイレの入口は一つだけど、右に男子トイレ、左に女子トイレと明確に分けられているのに。

他の女の子は「きゃー小瀧くん♡」と言って通り過ぎてるけど、

許しちゃダメじゃない？

黄色い悲鳴上げちゃダメじゃない？



「まあお気に入りって別に男子が女子のそれに興味を持つのはいいけど」

「ちっちっち。ちょっと語弊がある」

「かっこつけないで。ともかく移動しよ？邪魔だし」

「冷たい言葉も甘くてとろけそうやで」

「うるさい」



すっきりしたから学科の共有スペースへ戻る。

同じ学科だから、待ち伏せするならここでいいのに。



「俺はAがおるから女子トイレに行くんやで」

「１、２分で帰ってくるからここで待ってたらいいのに」

「トイレ済ましてすっきりしたAを一番に見たいからな」

「何か違うかな？体内の変化しかないんだけど」

「それを想像して出迎えるんが楽しい」



私には理解できないけど、他人の趣味に口出ししちゃだめだよね。

私も巻き込まれてるから別にいいのか。



「一応聞くけど、望くん彼女とかいないの？」

「俺がトイレまで行きたい思うんはAだけ」

「あー……それって喜んだらいいのかな？おかしいな、ちょっと前まで望くんに恋愛感情抱いてたはずなんだけど」

「え！合法やん！今度からは個室まで迎えに行くから」

「ご遠慮願います」



合法ってなんだ。



「望くん、これはまだ大学のトイレだから、望くんのこと知ってる人たちが許容してくれてるけど……これ外でやったらどうなるかわかってる？」

「１回ショッピングモールみんなで行った時、俺スタッフさんに連れていかれて警察も来たで？」

「前科ありやん。だからあの時望くんいなかったのか」

「とにかくお願いします！俺とトイレの前で待ち伏せし合う関係になってください！！」

「私も待ち伏せしなきゃいけないの？絶対嫌に決まってるよね」



泣き出した望くんは、

私が彼に振り向くまでトイレの前で待ち伏せし続けると言い放った。

妥協する気一切ないな。



〆．

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