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「こたちゃん何言うてんの？」
『斗亜、キスしたことないからキスシーン不安なんやろ？』
「いやそうやけど、」
『やったら練習したらええやん』
それはそうかもしれんけど、にこにこといい案出したで！みたいな顔してるのは納得いかへん。
「練習て…」
『緊張してセリフ飛んだりするかもしらんやん』
「それはそうかもしれん…いやいやいや」
『相手の役の子にも迷惑かけられへんやろ〜』
何を言ってんねやろ、こたちゃんは。
そもそもこたちゃんはええんかなそれで。 いやいやいや、いいけど。メンバーやし、同期やし、とあたち仲良いしな。でも、
『斗亜』
「うわぁ近！！」
『えぇ、そんな逃げる？』
「もー補習始まるで！？」
『チャイム鳴るまでこぉへんやろ』
「う、」
こたちゃん変なスイッチ入ってる。
あのモードに入ると頑固やから、チャイム鳴るまでこの話なしにしましょう！
あかんあかん、色々あかん。
「こ…たちゃんリ、ップなに使ってるん！？いい色やなぁ！？」
『使てへんで』
「へ！ええ！そうなん！ええなあ！」
『斗亜うるさい笑』
だって、キスされるか思ったんやもん。
逃げ場のない空気をどうにかしたくて騒いでみるけど、一度唇に目がいくと離せなくなる。
…キスって、どんな味なんやろ。
あぁもうなんなん、キスキスって、とあなんでキスのことばっか考えてるん！？
ちゃう！仕事で、仕事でファーストキスするくらいなら、それなら、って思っただけやし！
『斗亜、見すぎ』
「…ぁ、ごめん、なさい」
『なんで謝るん？』
放課後の教室。カーテン越しに西日が差してて、オレンジ色に2つの影が揺れている。
影はとあたちの距離よりも近くて、くっついてるように見えて。
理想のファーストキスのシチュエーションだと思う。
『…斗亜？』
「…こたちゃん、」
『ん？』
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作者名：明太まよ | 作成日時：2023年4月13日 8時
