〇夕焼けダンデライオン ktta ページ17
恋愛ドラマをすることが決まった。
ちょっとした青春系の恋愛ドラマ。
学生のピュアな恋愛もので、同級生とのラブストーリーだ。
とあは主役の男の子の親友で、隣のクラスの女の子とこっそり付き合ってるという役。
今までは可愛い年下役ばかりしていたのに、今回は同級生。
いじらしいけど真っ直ぐな男の子で、女の子をリードするような、そんな子だ。
お互いを意識し始めた主人公たちが、親友カップルのキスを見てしまって気まずくてどぎまぎしてしまう…みたいなシーンは、原作も話題になっていた。
ただひとつ、問題があるのだ。
その親友カップルの男の子がとあの役。やから、
「とあこういうの出来るかなぁ」
『大丈夫やって、出来る出来る〜』
「そうかなぁ」
恋愛ドラマをやる、それにキスシーンもあるなんてからかわれたりするのが恥ずかしくて言えへんかってんけど。
つい吐き出したくなって、同じく英語の補習を受けるこたちゃんに話したら、さらっと受け流された。
「原作のシーンとかわ！うわ！ってなったで」
『めっちゃ少女漫画みたいなやつやんな、俺読んだで』
「え、ああいうの読めるん！？恥ずかしくなって、とあ」
『ん〜、ねーちゃんも妹も読むからなぁ。にぃに読んでー言われるし』
「女の子しかおらへんもんな」
妹に読まされて最終巻まで読んだって言うこたちゃん、猛者や。
とあはなんかこう、ああいうの恥ずかしくなってもうて途中から読めへんくなる。好きやで、好きやねんけど。
「んん…」
『まだなんか引っかかってる？』
「ん〜…その、ドラマな…キスシーンあって」
『へぇ』
「とあな、ファーストキスもまだやのにキスシーンなんて出来んのかなて…」
恥ずかしくて思わず小さくなった声は、二人しかいない放課後の教室に響いた。
仕事で都合が合わへんくて、ずらしてもらった2人だけの英語の補習。
先生は、まだ来ぉへん。
妙に恥ずかしくて下を向いてしまったけど、こたちゃんはなにか考えてくれてるようで。ちらりと目を向けると、いい案が思い浮かんだ！みたいな顔をした。
『ん〜…俺と練習するぅ？』
「…はぁ？」
な、……なに？ナイスアイディアかも！くらいの笑みでこっち見るのやめてくれへん！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：明太まよ | 作成日時：2023年4月13日 8時
