3 切島side ページ3
合流して5人で居酒屋に向かっている途中、ふと爆豪の方に目をやると何やら考え事をしている様子だった。いや、考え事と言うより、"悩み事がある様子"の方が正しそうだ。
さっきからずっと黙りで、緑谷や轟が声をかけてもどこか上の空だった。芦戸と並んで歩いていた列から外れ、1番後ろを1人歩く爆豪の横に並ぶ。
｢バクゴー、Aさんと何かあったのか？｣
皆に聞こえないよう小さい声でそう聞くと、爆豪はピクッと動いた。当たりみたいだ。分かりやすいよな。
｢アイツ、俺に飲みに行って欲しくねぇんだと。それで喧嘩した｣
｢そうか…俺、誰とも付き合ったりしたことねぇから何も言ってやれねぇけど、ファイト！｣
｢ンだそれ｣
｢そういや爆豪、いっつもこういう集まり参加しないのに今回はなんで来たんだ？｣
｢ケッ、誰が教えるか｣
｢まあ来たからには沢山飲んで、楽しもうぜ！｣
｢1人でやってろ｣
｢到着ー！もう皆中にいるって！｣
徒歩約10分。居酒屋に到着すると、先に着いていた皆はもう飲み始めていた。俺と爆豪は上鳴の隣に腰を下ろす。
｢かっちゃんいるじゃん！来ないと思ってた｣
｢本当だ！あの爆豪くんがいる！｣
｢チッ………うるせぇなコイツら｣
｢皆揃ったし、とりあえず乾杯しよー！｣
｢｢｢カンパーイ！！｣｣｣
久しぶりに爆豪を含めた全員で集まることができ、嬉しさもあり皆結構飲んでいた。あの時はこうだったね、とか今どんな感じなのかとか、他愛もない話をして盛り上がる。
｢あ〜、本当だ本物のプロヒーローさん達だ〜｣
これだけ大人数だと、峰田がその場に居なくなっている事に誰も気づかなかった。近くの席にいた女性陣を片っ端からナンパしまくって連れてきたらしい。
｢烈怒頼雄斗だ♡生で見るとカッコイイですね｣
｢どわぁっ！？｣
揺れる綺麗な髪に、甘い香り。極めつけに上目遣い。
しかも、む、む、胸がっ…。腕に当たってるっ！
周りに助けを求めようとするも、瀬呂や上鳴は言い寄る女性にデレデレしていた。瀬呂に関しては膝枕してもらっている。ここ居酒屋だぞ…。てか爆豪は…！？大丈夫なのか、Aさんと喧嘩してるのに…。
｢ばく………！？｣
なんてタイミングだ。爆豪の方に目をやると、そこには水勢が居た。今カノと喧嘩中の彼氏が居酒屋で元カノと遭遇とか、1番あっちゃいけない事態だろこれ！！
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作者名：831 | 作成日時：2024年10月28日 20時
