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ページ17

沈黙に耐えきれず、ミストレを小突く。


このままでは、俺なんかに言う権利のない感情を零してしまいそうだった。



「オイなんか言えよ」



ミストレは、ふう、と吐息を漏らし、おちょくるように言う。


「まさかとは思っていたけど……エスカバ君は、趣味が悪いねえ」



はあ、と俺はため息をついた。



「お前が思ってるより、ずっと俺らの関係は簡単なもんだ。俺が思っていたよりは、難解だったけどな」



ミストレは、黙って俺の顔を見て、次の言葉を待つようにそっと微笑んだ。



「Aは、俺が思っていたようなただの後輩じゃなかったってだけだ。特別仲が良くて、特別可愛い後輩だった」

「そっか」

「……寂しいよなぁ」



普段のやかましいのとは全然違う雰囲気で短くうなずいたミストレに、思わず本音をこぼしてしまった。俺にこんなこと言う権利ないのに。


絶対にからかわれると身構えたが、



「寂しいね」

おだやかな反応に、驚く。ミストレは少し笑って言う。オレも同じだよ。



「もうあいつ、俺達と買食いしたり、遊んだりしてくれねえのかな?」

「してくれるよ、きっと。むしろ喜んでするよ。だって、」



だっての続きをミストレは、自慢の整った顔を崩して、満面の笑みで言う。大口を開けた友人もそこらのジャリよりは美しくて、その言葉に少し、救われた。



俺は立ち上がって言う。



「パス練再開しようか」


ミストレも笑って立ち上がる。





『Aにとってもエスカバはきっと、特別仲良しで、特別尊敬してる先輩だからね』

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マトリックス(プロフ) - ちかさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです!(^o^) (2020年7月28日 16時) (レス) id: 42c58f3b28 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 初コメ失礼します!一気に読んでしまいました……すごく好きです。もう本当に好きです!!!!(語彙力) (2020年7月27日 21時) (レス) id: f8911c1a4d (このIDを非表示/違反報告)
神田・スカーレット(プロフ) - なんだろう……この言い表せない気持ち……これからも皆でラーメン食べに行ったりしてほしいですねぇ〜 (2020年3月6日 11時) (レス) id: 89620096b1 (このIDを非表示/違反報告)
マトリックス(プロフ) - Folmoさん» 最後まで読んで下さってありがとうございました!途中更新しない期間もあったのに…と思うと本当に感謝の気持ちでいっぱいです!コメントも嬉しかったです!本当にありがとうございます!!! (2020年2月27日 22時) (レス) id: 42c58f3b28 (このIDを非表示/違反報告)
Folmo - 完結…!最後かなりドキドキしながら読んでました。スーパーハピエン…幸せ…投稿お疲れ様でした。本当にいいもの読ませていただきました…!! (2020年2月27日 4時) (レス) id: eaab8f82b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マトリックス | 作成日時:2020年2月23日 0時

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