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「――悪魔の仕業だと疑ってるのか」
「う、うん……」
剣城は腕を組み、低く唸った。
呆れられなかったことに安堵しつつ、肯定されても困るので、私はどんな気持ちで彼の返答を待てばいいのかわからなかった。
「……その駒井という男に悪魔が近づいていたら、お前に匂いが移るはずだ。だが、お前から悪魔の匂いはしない」
「そっか。良かった」
私はほっと胸を撫で下ろした。彩花の件があってから、身近な人間に変わったことがあるとどうしようもなく不安に駆られるのだ。
悪魔の仕業でないのなら、駒井さんには別の事情があることになる。ただ、彼とは仕事以外の話をしたことがないので、現時点では予想を立てることすら難しかった。
「心配してるのか」
「そりゃあね。基本チームで動くし」
「仕事に支障が出てないなら、気にしなくていいんじゃないのか」
言外に「このお人好し」と告げられていることがひしひしと感じられ、私は剣城から目を逸らした。
彩花のことがあってから、彼も私と同じように心配性に拍車がかかってしまったようだ。特に、私が磯崎の攻撃を受けたことが応えたらしい。実際には大した怪我はなく、それも天馬の祝福の力であっという間に治ったのだが。
「ところで」
突然、剣城がぎこちない声で言った。彼のほうを見ると、居心地が悪そうに目線をあちこちに飛ばしている。
「……今、欲しいものはないか」
思わず眉間に皺を寄せた私に、剣城はばつが悪そうに目元を手で覆った。
「……天馬に何か言われた?」
「…………誕生日のプレゼントを……」
「ああ……」
「『それとなく探れ』と……」
サプライズにこだわるのも無理があると言うものだ。剣城はそのような芸当に向いていない。
私は少し笑って剣城を宥めた。
「まあまあ、サプライズっていう
欲しいもの。いざ聞かれると、なかなか出てこないものだ。通販サイトの欲しいものリストを見てみたが、わざわざ誕生日のプレゼントでもらわなくてもいいものばかりだった。どうせなら、自分で買わないものが欲しい。
ただ、あまり高価なものは苦手だし、天馬と剣城がお金を稼ごうと思うと、単発バイトが限界である。
かといって、「プレゼントはいらないよ」なんて言えば天馬は頬を膨らませるだろう。
「うん……うーん……」
「今までは何をもらってたんだ」
「ええっと……」
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作者名:はるま | 作者ホームページ:https://twitter.com/April_hrm
作成日時:2022年10月13日 0時