毎日あなたのことを思い続けて【氷鷹北斗】

9，春に ページ9

…寒い時期も過ぎた。




だんだん暖かくなってきて、梅の花が散って桜がそろそろ咲こうとしていた頃。




私は、アケミさんに呼ばれた。




アケミ｢きたきた。急にごめんなさい｣




A｢いえ、大丈夫です。どうしたんですか…？｣




アケミ｢単刀直入に言うわ…



貴方…うちの息子と、結婚するはない…？｣




A｢…………………は！？｣




アケミ｢フフッ、驚くのも無理ないわね。



前に、お嫁に来て欲しいって言ったでしょ？



あの時、私は冗談っぽく言ったけど、半分は本気だったのよ？｣




A｢それは…あまりにも。｣




アケミ｢分かってるわよ…"アイ"


貴方が全て思い出して、貴方には想い人がいることくらい｣



A｢アケミさん…私はAです。｣




アケミ｢あなたがここにいる限り、あなたはアイよ。｣



A｢…っ、その話…お受けできません。｣




アケミ｢勘違いしないで、私はあなたのこと、本当に気に入ってるのよ。



貴方が来てから、旅館の売上は上がってる。


接客だって問題ない。


しかも、貴方、この店の看板娘みたいになってるじゃない？



ここは、大きな旅館よ？悪いようにはならない。



だから、お嫁に来て欲しいの。



しかも、あなたの想い人…全く来ないじゃない


天祥院様が来てから、もう１ヶ月以上は経ってるのよ。｣




A｢それは…！｣




アケミ｢いつ来るかもわからない人よ？



この話…考えといてね。｣









あまりにも…衝撃的な事だった。




どうすればいいの？




断れなかった。ずっと気になってたから。


いつ来るのか…



全く来ないから、本当はもう来ないんじゃないかと思ったくらいだった。





だけど…待ってますって言ったから…待たないと。




けど、もし断ったらここに置いてもらえないかもしれない。




っ…今追い出されたとしても、結局困るのは私だ。



ここに迷惑かけるわけにも…………




そうだ。





あった。




どうにか…出来るかもしれない。







私は部屋に戻って、渉さんの連絡先を探した。




A｢あった。｣





電話するために、外に出る。




公衆電話を見つけ、かけると。




渉｢もっしもし！あなたの日々樹渉です！！！！☆｣




………本当に大丈夫かな。

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