Free Hugs -styles of love- (ページ33)

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「…まだ話してなかったんですけど。

私、今大切な人がいて、
その人が今の笑顔のもとなんです。

喧嘩もするし、主に私が怒って困らせちゃうんですけど。笑

私ってなかなか気持ちの切り替えが下手で、
仲直りしてもその後どんな顔したらいいか分かんなくてけろっとするのが苦手で、できなくて。
だからまた困らせちゃうんですけど、それでもしょうがないなあって、包み込んでくれる。

その人の前ではそれはもう、カッコ悪い私で。
でも自分の感情に素直にいられるんです。
ありのままってやつです。

実は私、サザエさん今だに見てるって知ってました？

すごくサザエさん好きなんですよ、漫画も全部持ってるくらいのガチ勢。

彼も一緒に笑ってくれるんです、サザエさん見て。
一緒にご飯たべて、なにげない話をして、サザエさんみて。彼とのそういう時間が、かえって私が辛いことも頑張って乗り越えさせてくれるんです。

…バカみたいに話しちゃったけどこれが今のすべて。

彼に夢中ってとこです。

でも一つ、悩みがあるんですよね」

「…なに？」

「彼氏、藤ヶ谷さんのことすごく気にしてるんです。
どうせスカイツリーの夜景には敵わないとか
ラブホ行ったことあるんですね、先輩こんにちはって嫌味言われたりするし。
どうせ藤ヶ谷さんのとこ行くんでしょ？ってすねちゃうし」

「え！俺の話したの？」

「元々友達だったから付き合う前に色々話しちゃったんですよね。かなり後悔」

「なるほどね、じゃあ言ってあげて。藤ヶ谷は負けました、って。聞いたところ、隙なんかどこにも無さそうだし、これは諦めるより他ないでしょ」

「諦めるってそんな別に好きでもないでしょ？笑
久しぶりに会って成長がみえて勘違いしたと」

「いやー、結構マジになってはいたよ随分前から」

「そうなの？！知らなかった。」

「連絡手段もないし、だから今日会えたからすげえラッキーっていうか、むしろ運命かと」

「運命ねぇ、藤ヶ谷さんの口からそんな言葉を聞く日が来るとは。人生、分からないもんですね」

「…あのさ、一つだけ聞いていい？」

…もし彼氏がいなかったらどうなってたかな、俺たち。

「…ん？どうもなってないと思います」

一瞬一瞬が全てで、それを逃せば同じチャンスが巡ってくることなんてない。

だから美しい。

全てが重なる2人のイマが。

早く帰ろう、彼の待つ家に。

「ただいま！」

「おかえり。」

あったかい彼の胸に飛び込んだ。