Free Hugs -styles of love- (ページ4)

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2人でこうやってゆっくり並んで歩くのは久しぶり。
北山さんはやっと引越しとか引き継ぎが落ち着いたみたい。

そんな帰ってきてまもない中、今朝はやり合ったもんだからそりゃみんな懐かしがるよね。

「Aー、なに食いたい？」

「北山さんはー？」

「今日はお前の好きなもんでいいよ。奢ってやる」

「え、どうしたの？！いつも肉！肉！うるさいのに笑」

「はは笑いんだよ今日は。久々にサシで飯食うんだから。Aに合わせてやる」

「おぉ～～！北山さんおっとなー！じゃあ、回らないお寿司！」

「却下！」

「え、わたしの好きなものって言ったじゃん！」

と、会社をでればただの友達みたいな私たち。
社内では気をつけている敬語も使わなくていいし
2人のこの距離感、なつかしくてホッとする。

「ははは笑寿司屋だと痴話喧嘩できねーもん」

「痴話っ、…また！！
もうあの後会議で戻ってきてた藤ヶ谷さんにからかわれて恥ずかしかったんだから！」

「え、藤ヶ谷帰ってきてんの？ははーん、Aまた鼻の下のばしてたんだろ～？」

「そうだよ、悪い？」

「なっ！あっさり認めやがってこのヤロ。」

「だって藤ヶ谷さんはアイドルだもん。」

「じゃあ俺は？」

「え？」

「俺はお前のなんなの？」

急に立ち止まって真剣な顔してわたしをみる北山さん。

…なに、急に。

でも、ちょっとドキっとした。

「…なーにいってるんですか！ほら早くお店いこ！」

慌てて目をそらして無駄に元気に言ったら
北山さんは一瞬、しまったって顔をしてすぐにいつもの北山さんに戻って

「…あのなぁ！ったくもう。中華いくぞ。」

そう言った。

「…中華も痴話喧嘩できないと思うんだけどな…」

わたしの動揺とちいさなつぶやきは
かすかな風と一緒に暗くなった夜空に消えていった。

・

で、あの。

「…北山さん、ここ居酒屋ですけど。」

「うん。居酒屋嫌い？」

「へ？いや、嫌いじゃないけどさっき中華って…」

「気が変わった。」

「…へぇー」

自由すぎてついていけない…笑

・

・

「「かんぱーい！！」」

グビグビとビールを飲む北山さん、久しぶりにみた。んめー！！って上を向くとこ、変わってなくてなんかホッとして、思わずふふふ、って笑う。

ん？って嬉しそうにこっちをみて微笑む北山さんは
上機嫌。

「北山さんあいかわらずおいしそうに飲みますね笑」

「だろ？…ん！
俺にもAの一口ちょうだい？」

…私ビール飲めないのに！