Free Hugs -styles of love- (ページ14)

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「で、アイツって誰？」

律儀にAを廊下に逃がしに行った俺をその場で待ってくれていた横尾さんは俺の顔をまじまじとみる。

「藤ヶ谷だよ！」

「え、太輔帰ってきたの？！連絡してくれればいいのに…」

って恋人が帰ってきたかのように嬉しそうに笑う横尾さん。割と長い付き合いだけど、なかなかレアな表情だと思う。

…てかなんでそんな穏やかな顔してられんだよ。Aがまーたフラフラするかもしれないってのに！！

「はぁ…」

盛大にため息をつく俺とは対照的に

「はははは笑北山は心配なわけだ、太輔に取られちゃわないか」

横尾さんは歯を出して笑っている。

「当たり前だろ？Aの憧れのやつなんだから。」

「ベタ惚れだね、内田さんに。ま、頑張って。」

横尾さんはもう呆れ顔だけど、そんなことはどーだっていい。

俺はこの手であのイケメン色気ダダ漏れ王子からAを守んなきゃなんないから。

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みっくんがそんな風に闘志を燃やしていることなんてちっとも知らない私は、いつものように会議でプレゼンをし、批評され、凹み、さりげなくフォローが入り、ちょっと元気を取り戻す。そんな日々のルーティンをこなしていた。

あー朝から疲れた

干からびそうな顔で席をたつところで

「Aさん！Aさん！聞いた？」

仲良しの後輩のまいちゃんが私の肩を元気よく叩く。

「ん？なにを？？」

まいちゃんはうしししって笑って

「藤ヶ谷先輩ですよ～」

「藤ヶ谷さん？藤ヶ谷さんがどうかしたの？まさか…結婚とかじゃないよね？！」

「けっ！そんなの許しませんよ日本が！今日から本社にご帰還ですって！！」

「え！ウソッ！ほんとに！？嬉しい！！」

「ほんと！！だからもう朝からみんなテンションマックスで！」

「あ！だから朝みんなあんなに集まってたんだ！まあでもそりゃテンション上がるよ！…そっかぁ藤ヶ谷さん日本かぁ。本社かぁ。…ふふ」

思わず藤ヶ谷さんの内田さん！って呼ぶ声を思い出して口元がゆるむ。

「あ、Aさんニヤニヤしてる！ライバル多いですよ？笑」

「はは笑そんなんじゃないって。まいちゃんもう会ったの？」

「当たり前じゃないですか！取り囲んでたうちの1人ですよ！」

「ははは笑やるね笑じゃあ私も会ってこーよおっと！」

「お伴しまーす！」

「もう笑しょうがないなあ。あ、私お手洗いいってくるから先戻ってて」

はーい！って元気いっぱい返事をするまいちゃんと別れてお手洗いにむかった