Another World (ページ8)

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彼はわたしにとって初めてここに、そばにいていいんだって思えた大事な居場所で。

そんな気持ちになれた事実はこの先、どんな未来が待っていようと変わらない。

彼にとって、わたしも、少なくとも今は彼の大事な居場所。

・

でももちろん、彼の前で無理をして背伸びをする私もいる。嫌われるのが怖くて思ったことを伝えられないことだってある。

だけど、彼に抱きしめられれば途端に悩みなんてモヤモヤなんて消えてしまう。

恋の病に効くのは、彼の腕の中でただ、彼の心の音をきくこと。

たったそれだけだけど、一番大切な時間。

・

そして腕の中で眠るわたしは、まるで母親に抱かれていた頃のように安心しきっている。

日常の辛いこと、うまくいかないこと、悲しかったことが全て浄化するような気がするし

嬉しいこと、楽しかったこと、楽しみなことを腕の中で話せば、2人で笑顔になって、幸せが2倍になるんだ。

・

離れたからこそ、より大切に思う気持ちは強くなった。

でも一緒にいられるからこそ、一緒に乗り越え、笑顔になれたんだろうなあとも思う。

お互いがお互いを必要として、

お互いがお互いを大切に思って、

お互いがお互いの笑顔のために生きる。

そんなあたたかい場所。

家族とか恋人とか、友達。

人によってその場所のカタチはきっと違うけど。

誰もがそんなあたたかい場所を必要としてる。

きっと人には人が必要なんだ。

あたたかい心(場所)が。

見えなくなるくらい当たり前にそばにある、

そのあたたかい場所を

不意に忘れてしまわないで。

だって2度目はないかもしれないから。

でももしも神様がほほえんでくれてあなたのもとに2度目がきたなら。

「ずっと…ずっと俺のそばにいてください。」

…今度こそ、その手を握りしめて離さない。

「うん、ずっとだよ…？」

今度こそ、この手を繋いで離したりしないで。

＊

当たり前にある自分だけの大切な気持ちと、あなたに気づけるように。