吸血姫は眠りを知らない4 ページ5
「ライト！ちょっと待って！」
まだ遠くには行っていないライトを、部屋の中から呼び止める。
Aの声にライトが歩みを止めるのを感じた。
「呼んだ？姉さん」
「姉さんの所においで」
姉さん！という声と共に、胸元に子供一人分の重さを感じた。
面倒見の良い兄貴肌なライトが甘えてくるのは私だけの特権だと思ってる。私の弟は何でこんなに可愛いの。お姉ちゃん誘拐されないか心配です。
Aは何気ない動作でライトの髪を手櫛で梳かす。いつもなら手に絡まることが無いライトの髪だったが、固まった何かに絡まり梳かすことは叶わなかった。
「ライト...」
「...」
ライトはAの自信を呼ぶ声にピクリと体を跳ねさせる。コーデリアとの事について詰め寄られると思っているのだろう。そんなライトの手を優しく両手で包むと、Aは自身の頬に当て目を閉じた。
「ごめんなさい。不甲斐ない姉を許して...」
「姉さん...？」
Aは正式な夫人との間に生まれた子ではない。所詮、愛人である母とカールハインツとの間に生まれた子だ。この屋敷に置いてもらっているだけで有難いという立場なのである。
そんなAが第一夫人であるコーデリアに盾突く事など出来る筈もない。
「あ、そうだ」
「？」
突然自身の部屋の引き出しを漁り出したAをライトは首を傾げながら見つめる。え、何それ可愛すぎだろ。私に探し物をさせない気か。
結局、弟観察7割、探す3割で机を漁り探し物を探すことが出来た。
「これ上げる」
そう言いながらAが差し出したのは『呼び出し券』と書かれた手のひらサイズの紙だった。受け取りながらも、未だに良く分かっていない表情の破滅的に可愛い弟に説明をしようとAは口を開く。
「これは文字通り、私がどんな所にいても、死にかけであっても絶対にライトの元に駆け付けるっていう券だよ」
「駆け付ける...」
「勿論、姉さんは可愛い弟のライトに呼ばれれば券なしでも駆け付けるけど、この券はいざと言う時の為に持ってて」
ライトにとって切り札ような役割を担えればという願いも込め、Aは小さな手に紙を握らせる。その後、ライトに引き止めたことを謝り別れた。
「そう言えば、今日はスバルとは会ってないな」
末っ子のことを頭に浮かべていると、自然とクリスタの事も頭に浮かんでくる。
「クソ...お父様も酷な事する」
クソジジイと言いかけたが、どこで聞き耳立てているかわからない。壁に耳あり障子にカールハインツありだ。
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼しますね！私逆ハー大好物なので嬉しいです！ディアラバのキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月17日 21時) (
レス) @page7 id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 続きが気になります！更新楽しみにしてます！ (2021年2月13日 3時) (レス) id: 2d9e53b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
*SSU* - つ・づ・き・が・た・の・し・み♪ (2020年4月28日 10時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆた - つづき楽しみにしてます！ (2020年3月8日 10時) (レス) id: 6c85c6c733 (このIDを非表示/違反報告)
神 - わぁー！ 返信ありがとうございます。応援しています！ (2019年10月10日 21時) (レス) id: 090390c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜蘭 | 作成日時：2019年5月15日 19時
