No.48 ページ48
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『家族の記憶がないんじゃなくて、家族が関係する記憶がないんじゃないかな。』
アルフォンスくんの考えに、エドワードくんが説明を求めた。
エド「どういうことだ?」
アル「大佐が言う可能性のように、もともと家族がいないのだとしたら、ラストネームがないのだって納得だし、どこで生まれたかだってわからないと思う。でも、Aちゃんは、自分が経験したことは覚えてるって言ってたでしょ?それだったら、自分が育ってきた環境や故郷ぐらいは少しくらい覚えていてもいいはずなんだ。」
エド「でも、コイツはそれも覚えていない…」
アル「っていうことは、Aちゃんが支払った代償は、家族に関連するすべての記憶なんじゃないかな。そう考えると、ラストネームも生まれ育ったところもわからないって点に説明がつくんだよ。」
エド「そんで、逆に考えると、コイツに家族がいたってことにもなるな!?」
エドワードくんとアルフォンスくんは、まるで自分たちのことのように喜んでくれてこちらに明るい顔を向けてくれた。
A「そっか…よかった……」
自分に家族がいる…その可能性もきちんと残っていたことに安堵したものの、正直、自分が誰を錬成したのかが気がかりで、私の暗く沈んだ気持ちは晴れることはなかった。
すると、マスタングさんが気まずそうな顔で口を開いた。
マスタング「………その……すまない…。決して君を悲しませるつもりはなかったんだ。ただ…その…職業柄といってはなんだが、常に最悪の事態を考えて行動をしなければならなくてだね………その…」
頭の中で考え言葉を選んでいるのか、時折言葉を詰まらせながら話すマスタングさんに、アルフォンスくんがクスっと笑って言った。
アル「つまりさ!結局は、大佐の考えだって、僕の考えだって、推測にすぎないんだよ!事実なんて現時点ではわからない、もしかしたら両方とも事実とは違うかもしれないしね!ただ大佐が、いろんな可能性、そして最悪の事態を考えるのは、万が一の時に最善の対処をするためなんだと思う。そんなことは起きないって信じてはいるけど、もしもの時に、Aちゃんが少しでも傷つかないように、辛くならないように。」
そうか…
後になって、初めて辛い現実を突きつけられて苦しむよりも、
前もって、その可能性があるかもしれないって知っている方が、
いくらかは気持ちは楽なのかもしれない…
心の準備みたいなもの…か…。
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るるるs - 鋼の錬金術師AFじゃなくてFAですよ。 (2022年7月27日 0時) (レス) id: 7f6b75982b (このIDを非表示/違反報告)
篠懸 菖蒲(プロフ) - ポケットの案内人さん» ポケットの案内人さん コメントありがとうございます!そう言っていただけて私もすごく嬉しいです(><)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年8月16日 8時) (レス) id: 21fdeed85c (このIDを非表示/違反報告)
ポケットの案内人(プロフ) - 私、ハガレン大好きなんですよ!夢小説書けないのに夢主勝手に想像したり、そしたらこの小説があったのでメッチャ嬉しいです!頑張ってください! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 4ccf657d3b (このIDを非表示/違反報告)
篠懸 菖蒲(プロフ) - みーこさん» みーこさん ありがとうございます!そのように言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります(><) (2020年6月23日 10時) (レス) id: 21fdeed85c (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってくださいね! (2020年6月23日 10時) (レス) id: 19c92306d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菖蒲-アヤメ- | 作成日時:2020年6月12日 23時