苦手だけど憎めない水上くん

睡眠 ページ21

伊沢「はい。





大したものじゃないけど。」




伊沢さんは私にお茶をくれた。



「ありがとうございます。




雨が止んだらすぐに帰りますから。」




伊沢さんとふくらさんはこの後打ち合わせがあるからと、席を外してしまった。






この部屋に、1人。







早く帰らなきゃいけないのに、全然雨が止まない。





風もずいぶん吹いている様子だ。








だんだん眠くなって気づいたら１時間ほど寝ていた。








やばい、帰らなきゃ。




あ、水上くんに一応LINEしとこ。





と思ったら、ソファに座ってる私の上に毛布が。




あぁ、恥ずかしいことをしてしまった、あとで伊沢さんに謝らないと。







そう思いながらバッグを手さぐろうと左を見たら









「えっ⁉






み、水上くん…⁉」






水上くんが同じ毛布をかぶってスヤスヤ寝ていた。







じょ、状況がつかめない。




水上くんからのLINEを見ると、






『A今どこ？』




『TQC終わったらオフィス行こうと思うんだけど』





『Aも来ない？』




『おーい』



『まあいいや、伊沢さんにとりあえず企画趣旨話してくる』






『A生きてる？』









そこで途絶えていた。







…水上くん。





きっと私がここにいたことにびっくりしたんだろうな。




まさか私がクイズノック のオフィスに自ら行くなんて思いもしないだろうから。




そしてオフィス行くのに誘ってくれたのは私が1人にならないため。





断られるだろうけど誘っといた程度。






私がこんなところで寝てるなんてびっくりしたよね。








「LINE見てなくてごめん」






私は隣で座りながら寝ている水上くんの髪の毛を触った。






「意外とサラサラなんだね」







私が立ち上がろうとしたら、水上くんに手を引かれた。





「わっ」




私はバランスを崩して水上くんの横に座り抱きしめる感じになってしまった。





「ごっごめん！！」


私はとっさに水上くんからすこしはなれた。



少し体が熱い。


水上「何に対してのごめんなの？」




「え…？」








水上くん、怒ってる…？






水上「僕は心配したんだよ。





Aから連絡が来ないから。





それがのんきに寝てるなんて。




しかもクイズノック で寝てるってどういうこと？




なんで連絡してくれなかったの、なんでここにいるの、どういうこと？」









…なんでそんなに怒ってるの？

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