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三頁 ページ5




折原と出会ったのは三年前である。


彼、国木田独歩は学問所───新鶴谷学館で週に二回ほど代数の教鞭をとっていた。本業である武装探偵社の仕事もこなしつつも勉学に勤しむ学生たちに公式を教え、解き方の手解きをする。公式さえ覚えてしまえば自ずと問題も解けるようになるであろうと生徒に教える様子は同僚たちからは苛烈(スパルタ)と評されていたが、国木田としてはいくら優しく教えたところで出来るものもできないだろうと一蹴した。
そんな日常の最中(さなか)の、或る日だった。

授業を終わらせ、ひいひいとべそをかきつつ教室を出て行く生徒たちを見送った国木田は事務所の給湯室で珈琲でもいれて休憩しようかと学館の廊下歩いていた。
勿論、コマによって時間帯の違う科目も有るためまだ講師の声を響かせる教室は複数ある。その中で異彩を放つ教室を目にいれてしまった国木田は思わず足を止めた。

『此の作品は作者の遺作とされており、没後、絶筆状態のままその他の短編と共に世に出されました。彼の作品は執筆当時の心境が大きく反映されていますが皆さんお気付きになりましたか?』

ぱっと持ち上げた顔はひどく整っており、其処らの女性とは一風変わった雰囲気を醸し出していた。年端もいかぬ少女ともとれるような見た目の講師は教室中の視線を一身に浴びている。キラキラと憧れの対象を崇敬するような生徒たちは終始無言であったが、彼女の問いに対してはい、と確りと頷く。
その真面目然とした教室から目を離せなくなった国木田はずっと窓からその様子を伺っていた。

『はい、では皆さんに課題を出しましょう。次の授業までの数日間でこの作者の作品に触れてみてください。短編でも長編でも構いません。それが今回の課題です』

それでは本日の授業は終わりにしましょう。呉々も夜更かしはしてはいけませんよと微笑んだ少女は美しかったと、国木田は今でも覚えている。
さようなら、とぞろぞろと教室を跡にする生徒を見送ると彼女は黒板を消そうと黒板に向き合う。はらはらと白墨(チョーク)で書かれた美しい文字列が消えていった。


『あら、国木田先生、こんにちは』


此の学館では数ヶ月の間に急に成績の伸びた科目があった。それが此の年端もいかない少女、最近雇用されたばかりの講師───折原Aの担当する現代文だった。


此れが国木田と折原の初対面(ファーストコンタクト)である。



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 恋愛 , 国木田独歩   
作品ジャンル:恋愛
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綾舞町 - 花夢園さん» 中々無いですよね、彼のお話は(笑)少々書くのが難しいですが彼の格好いい姿を表現できたら、と思いっています!有り難う御座います! (2016年8月4日 20時) (レス) id: a2978e8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
花夢園 - 国木田さんの恋愛ってレアですね〜とっても面白いです! (2016年8月4日 16時) (レス) id: a92783a906 (このIDを非表示/違反報告)
綾舞町 - 百久一目さん» 本当ですか?!有り難うございます!!結構天然な部分の有る子なので……(笑)国木田さんともっとイチャイチャさせるようにしたいです。 (2016年7月1日 17時) (レス) id: a2978e8fa9 (このIDを非表示/違反報告)
百久一目(プロフ) - 夢主(?)ちゃん、可愛い…(惚) (2016年7月1日 13時) (レス) id: 421761368c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾舞町 | 作成日時:2016年6月12日 18時

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