その六 ページ8
「お仲間が出来て嬉しいよ」
そこに居たのは琵琶法師だった。彼曰く寝ている時に、捕まってしまったそうだ。今まで攫われた旅人も坊さんの様に捕まっていたようである。その後、坊さんは青年の事を見覚えがあると言った。
「見覚えって目が見えるのか?」
「どろろ、この人感覚が鋭いんだよ」
「お嬢さんの言う通り、あたし達には見明きには見えない者が見えたりするんでねぇ」
ちなみにどろろは綺麗な真っ白な炎、沙世は白い炎の他に小さいが綺麗な青い炎が見えるそうだ。
もしかしたら青年もその炎が見えるのかもしれない。そう話していたら沙世、青年、坊さんは身構える。その様子にどろろは慌てた。沙世達は妙な気配を感じ取ったのだ。視線の先には井戸とこの室内唯一の灯り。あの灯りが消えてしまった。どろろは「わあ!?」と驚く。
「何も見えねえ!」
「大丈夫、あたしらには同じ事さ」
「だからどろろ、落ち着いて」
驚くどろろにお坊さんと沙世は落ち着かせる。
「沙世姉ちゃんはよく落ち着いてられるなー」
「私は夜目が良い方だからね。」
沙世が倒すものは夜にしか行動しない。だから真夜中に行動できるように師匠の訓練を受けていたのだ。どろろを落ち着かせた後、沙世と青年は刀を抜いた。井戸の中から妙な気配がするから。そしてその妙な気配が出てきた。その瞬間、青年と沙世は走る。
ぎゃあああああ
青年はそいつを追いかけるために井戸へ入った。
「お坊さん!追いかけるのでどろろの事お願いします!」
「はいよ」
沙世も坊さんにどろろの事をお願いした後、井戸へ入る。
ばちゃばちゃ
「冷たいなー」
中に入っている水が冷たい。すると進む方向からわずかに風を感じ取った。
「外の風?」
外への出口が真上に出来た。沙世がそこを登るとそこは万代の屋敷の中庭。しかも万代の部屋の目の前だ。青年と沙世は戸に近づくとダアン!と蹴り破った。
「また私を斬りにいらしたのですか。今度はお嬢さんも。このような病人を一体何故?」
まだとぼける万代に沙世と坊さんは言う。
「もうとぼけないで。もうバレてるよ」
「あたしらにはお前さんの中身しか見えないんだ」
どろろは「色は?」と坊さんに聞く。その問いに坊さんは答えた。どす黒い血のような赤 最悪の色と。女性の体にシュルシュルと布が巻かれる。蚊帳から大きな物が二つ光った。女性は尻尾だった。
青年はの一本の刀を抜く。落ちる蚊帳。万代が正体を現した。
坊さんは教える。奴の正体を。
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時