その四 ページ6
どろろは青年の手を引きながら沙世と一緒に聞いた話を聞かせる。そして到着した村は戦国の世の村にしては金持ちが多そうだった。どろろもそう思ったのか「金持ちそうな村だな〜」と言う。
「化け物でんのかな?」
「にしては平和そうだよね」
どろろと沙世が話していたら「化け物がどうかしましたか?」と男性が話しかける。離れたところから見ている村人たちの中で一番服装が小綺麗だから恐らくは村長だ。そんな彼にどろろがこの村が化け物で困っていること、沙世と青年が化け物退治の腕前が天下一品と大げさに紹介し始める。村長は二人を見る。若者二人が化け物退治をするというのは嘘臭い。その様子に沙世はそれはそうだと言う感じに苦笑いする。どろろはこの間、青年が妖怪を細切れに、沙世が縦一線で退治をしたことを教える。そのことに村長は信じ始めた。さらには「頼むだけならタダ」と言う言葉に最終的に頼むことになった。
「く〜極楽極楽♪」
名代(村長じゃなかった)の家に有る馬小屋で寛ぐ三人、どろろは馬小屋でも中で眠れることにご機嫌だ。しかし疑問に思う事があった。
「でもさあ?化け物に困っている割には贅沢な暮らししてるよなあ」
「うん。」
この村の外観といい、出された食事といい、どろろの言う通り贅沢な暮らしをしていたのだ。
なのに畑などがない。
「何で儲けてんだろうなあ?」
「物づくりの村じゃなさそうみたいだしね」
沙世の師匠は沙世が出された課題をしている間にお面や置物を作って町に売っていた。最初はこの村もそうしているのかと思っていたがその様子がなかった。
ちりーん
「「ん?」」
鈴の音が聞こえた。
ちりーん
また鈴の音が聞こえると灯りが消えた。その時現れたのは顔がでかい人型の妖怪。先ほどの鈴の音はそいつが持っている持鈴だったのだ。どろろは「出たぁ!!」と叫ぶ。沙世は刀を構えるが何かがおかしいと思った。妖怪には敵意がなく、ただ「やろうか、やろうか」と言っているだけだ。どろろは青年に必死にお願いするが刀を抜いてくれない。そうこうしている内に妖怪は去った。
「姉ちゃん!なんで逃がすんだよ!?」
「実はね…」
沙世はどろろに説明をしようとすると名代が現れた。「化け物は出ましたか?」と聞く彼にどろろは今日は様子見、大したことなかったとやり過ごす。名代が去った後、どろろは不満気に続きを促した。
「で、何が実はなんだ?」
「敵意がなかったの」
「てきい?」
「敵意。」
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時